Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
シンポジウム1
これからの包括的がん医療
座長・報告  がん・感染症センター都立駒込病院  佐々木常雄
 包括的がん医療という言葉のとらえ方について、各人が微妙に違うと思われるが、より患者本位の医療にどうしたら近づけるか、病院の中の各職種間、周りや他の医療機関との連携等を含めて各分野からお話いただき討論を行った。
 佐藤温氏は、腫瘍内科医として、治癒の望めない患者さんに抗がん剤治療を行っている立場から、病気を診ることではなく病人を診ることを強調された。
 門田守人氏は40余年間の外科医として、澤潟久敬先生の言葉を引用し「生、老、病、死に悩む人間の伴侶たることこそ医者たるものの使命であり誇りである。医者は単なる科学者であってはならない」等医師のあり方について述べ、医師と患者のコミュニケーションギャップへの対応等に言及した。
 根本建二氏は、キャンサーボードが包括的がん治療方針を示すこと、そして個々の患者さんが十分な治療を受けられるために他医療機関とのネットワークの必要性を述べた。
 林章敏氏は、緩和ケアの立場から、緩和ケアが初期の段階から終末期まで、治療と並行して求められることを強調された。
 最後に、濱口恵子氏は、看護師としての立場から、氏の病院では「がん治療支援緩和ケアチーム」が関与することにより、がん治療と緩和ケアが一体化してきていることを述べた。しかし、在院日数短縮、遠方あるいは高齢者の外来化学療法、看護師数が少ないことの問題等々、本当の意味での包括がん医療にはまだまだ多くの問題点があることを指摘された。
 実際の診療においては、患者さんはより良い治療とケアを求め、より良い状態で長生きできるように求めているが、包括診療報酬額が長い間据え置きとなっており、ホスピスでは全く治療を行ってくれないことなども指摘された。高齢化社会で、今後、日本の死亡数が急激に増えることが予想されることの問題もフロアから指摘された。今回のシンポジウムでの議論が、門田守人氏が座長をされている国のがん対策推進協議会での「次のがん対策基本計画」に参考になってくれることを希望したい。

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