Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.53
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2011  53
特別講演6
温熱療法・代替医療を用いた「前向きの緩和医療」
座長・報告  公益財団法人 日本対がん協会 日比谷分室  垣添 忠生
 京都府立医科大学名誉教授/千春会ハイパーサーミアクリニック院長 近藤元治先生の御講演は、7月30日(土)、第7会場で11:10−12:00に開催された。縁あって、私が司会を務めたので、この記事をまとめることとなった。
 近藤先生は、1978年から京都府立医大第一内科の教授を22年間お務めになり、うち4年間は病院長の要職にもあられた。在職中からずっと進めてこられたがん緩和医療を、2010年1月から千春会ハイパーサーミアクリニックで現在まで続けておられる。
 近藤先生は、とても75才とは思えない颯爽としたお姿で、情熱を込めて、緩和医療におけるハイパーサーミアの役割を話された。
 近藤先生は、特に「がんの温熱療法(ハイパーサーミア)」を武器として、「積極的(前向き)緩和医療」を展開してこられた。
 ハイパーサーミアによってがんを加温することにより組織ダメージを与え、それが、患者の抗腫瘍免疫力を高める。そして、ハイパーサーミアは、併用化学療法剤の投与量を減じることができるだけでなく、疼痛緩和にも有用である。先生はこの事実を示す豊富な臨床経験をお示しになった。
 この方法が全国に広がらないのは、機器が高価であることと、保険診療点数が低いこと、そして、がん治療に携わる多くの医師が、標準治療以外を、代替医療と一括して低く見る、あるいはまったく関心を示さないことにある、としてその実状を話された。
 EBM は重要だが、特にがん化学療法に関わる医師は、「もう治療法はありません。どこか病院を探して下さい」と、冷たく患者を切り捨てるケースが後を絶たない。医療者は、患者・家族の声に真摯に 耳を澄ます必要があるのではないか?そのことを強く感じさせる御講演であった。
 事実、いくつもの質問があり、講演終了後も、なお5、6名の質問者が列をなして長時間、先生を囲んでいたのが印象的であった。

Close