Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.52
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2011  52
学会印象記
12th Congress of the European Association for Palliative Care
大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学講座
大阪大学医学部附属病院 緩和ケアチーム
松田 陽一
 2011年5月18日〜21日に12th Congress of the European Association for Palliative Care(EAPC)がポルトガルの首都リスボンにて開催された。大会は2年に1回開催されており、大会組織委員会によると今年は約80カ国より2700名を超える参加者があったとのことであった。日本からは49名が参加し、計24演題の発表があった。
 リスボンは、1755年に大地震と津波により壊滅的な被害をうけた歴史があり、現在のリスボン市街地はそのほとんどが震災後に再建されたとのことであった。地震で廃墟となった修道院などが一部残されているが、街は美しく見事な復興を遂げており、くしくも3月に発生した東日本大震災とその復興に思いを巡らせることとなった。
 EAPCの関連プロジェクトであるEuropean Palliative Care Research Collaborative (EPCRC)が2006年より作業を進めてきた3つのガイドライン(がん疼痛のオピオイド治療、抑うつ、がん悪液質)について内容が紹介されていた。抑うつについては論文として(Eur J Cancer 2011; 47(5): 702-12)、がん悪液質についてはホームページ上で(www.epcrc.org)公開されているので参照されたい。がん疼痛のオピオイド治療に関するガイドライン(改訂版)については近々公開予定とのことだが、22の推奨についてそのエッセンスが紹介された。一般演題では、症状緩和から遺族ケアまで多岐にわたる領域のアセスメントツールやアウトカム評価ツールの開発を目的とした発表が多く見られたのが印象的であった。
 ヨーロッパ及び周辺諸国における緩和ケアの普及は国ごとに大きな格差があるようだが、大会を通じて各国が現状や問題点を発表したり情報交換をしたりすることで、緩和ケアの普及が進んでいない地域や緩和ケアのサポートが行き届きにくい人々に救いの手を差し伸べよう(Reaching Out)というメッセージを強く感じた大会であった。

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