Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.52
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2011  52
学会印象記
12th Congress of the European Association for Palliative Care
国立病院機構大阪医療センター 緩和ケア内科・がんサポートチーム
里見 絵理子
 2011年5月18日〜21日、リスボンで、12th Congress of the European Association for Palliative Careに参加する機会を得た。私自身は3回目の参加である。今回のテーマは「palliative care reaching out」、緩和ケアのさらなる拡大。この「拡大」は、緩和ケアの、ヨーロッパそして世界へ、認知症や慢性心不全などがん以外の様々な疾患へ、多様な環境・文化背景とそこに従事する人へ、研究や教育へというものである。各分野に渡るセッションが企画され、ヨーロッパを中心に全世界から発表があり、1107演題のうち日本からも20を超える発表があった。時差ぼけが懸念される中、11題のPlenary lectureは眠気も吹っ飛び「かぶりつき」で全て聴講した。その中で、Jox 氏の「The art of letting die」をはじめとする複数の発表で、患者の意思決定decision maikingが取り上げられた。成人も子供もadvance care planning / advance directiveを示す傾向が徐々に認められてきているが、未だにプロセスが十分でないこと、満足度の高い意思決定のためには、情報伝達時の内容やコミュニケーションスキルが重要になること、ICUでもプライマリーケアの場でも直面する問題であり、多くの医療者がジレンマを抱えていることについて、様々な施設でのこれまでの報告を交えて講演された。普段緩和ケアチームの医師として患者が自己決定するためにどのような支援がいいのか考えさせられることが多く、各地で実施される緩和ケア研修会を通して緩和ケアの基本が浸透しつつある中で、今後、意思決定への支援がどこでもだれでも実施できるような取り組みが課題と思われた。また本会では既に緩和ケアが各疾患に普遍的に適応される姿勢が定着し、Murray氏の「Primary care and Palliative care」でも触れられたが、緩和ケアはspecialityとしてだけではなくgeneralityとしてあらためて認識していく必要があると感じた。本会は一時も逃さず聴講したい衝動に駆られてしまう非常に刺激的な会である。今回得た知見を明日からの臨床に生かしていきたい。

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