Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.52
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2011  52
Journal Club
ナーシングホームのスタッフにおける終末期ケアの実践と
知識を評価する尺度の開発
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻
緩和ケア看護学分野  花田 芙蓉子

Thompsow S, Bott M, Boyle D, Gajewski B, Tilden VP.A Measure of Palliative Care in Nursing Homes. J Pain Symptom Manage 2011; 41(1): 57-67.

【目的】
 アメリカでは人口の高齢化に伴いナーシングホームにおける看取りが増加している。本研究では、ナーシングホームのスタッフにおける終末期ケアの実践と知識を評価するための尺度を開発し、信頼性と妥当性を検証することを目的とした。
【方法】
 文献レビューと専門家の議論をもとに、終末期ケアの実践と知識を評価するための尺度として、70の予備項目から成る自記式質問紙PCS(Palliative Care Survey)を作成した。項目の選定と信頼性・妥当性検証のための調査は、ナーシングホームのスタッフ2779名を対象に行われた。
【結果】
 因子分析の結果より51項目のPCSが確定した。実践と知識の二つの概念から構成され、実践については4ドメイン計31項目で、内訳は死別5項目、計画/介入20項目、家族コミュニケーション2項目、スタッフ連携4項目となった。知識については、3ドメイン計20項目で、内訳は心理面4項目、身体面5項目、終末期11項目となった。全項目において天井効果・床効果は示さず、信頼性・妥当性の保証された尺度であることが示された。
【結論】
 ナーシングホームのスタッフにおける終末期ケアの実践と知識を評価する尺度としてPCSが開発され、信頼性・妥当性も示された。
【コメント】
 米国より高齢化のすすんでいる日本では、介護老人保健施設や老人ホームにおける看取り割合は、人口動態統計より2000年において2.4%であるのに対し、2009年は4.3%と増加傾向である。さらに介護報酬改定により看取り加算が老人保健施設においても算定できるようになり、ますます施設における終末期ケアが重要になってきている。PCSは従来の医師・看護師対象のやや難度の高い知識問題や実践項目に比べ、より基本的なレベルの項目を採用しており、施設のスタッフに対する緩和ケア評価のツールとして有用であると考えられる。

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