Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.52
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2011  52
巻頭言
第16回日本緩和医療学会学術大会(札幌大会)を終えて
十和田市立中央病院  蘆野 吉和
 2011年7月29日(金)30日(土)の二日間札幌で開催された第16回日本緩和医療学会学術大会は、大きなトラブルもなく無事終了しました。運営には、日本コンベンション(株)のスタッフの他、主要な場所では、北海道ブロック・東北ブロックの組織委員、東札幌病院の大勢のスタッフ、そして十和田市立中央病院のスタッフが協力してくれました。
 2日間の有料参加者は約5500名。運営に参加したボランティアは約100名。その他業者や事務局のスタッフを含めると6000名程度の人間が北1条地区に集まったことになります。日本列島の北の地にこれだけの参加者が来てくれたことを感謝しております。
 今回のプログラムは非常に多彩な内容になりました。私の約25年間の緩和ケアの取り組みから見えてきた現在の緩和ケア/緩和医療の課題、学会委員会の企画、各職種の企画、そして、急遽準備した東日本大震災関連企画、そして、製薬会社などの関連企業の企画などが盛り込まれました。会場は3施設で8室のポスター会場を含めて20会場を用意しました。
 各会場の大きさと参加者の数で会場の混雑度は大変異なり、部屋に入れない会場がある一方で空席の目立つ会場もありました。特に350席程度の部屋は大入り満員で、当然のことですが2300席の大ホールは空席がありました。多くの魅力あるテーマが同時並行に進行しましたので、聴きたい演題すべてを聴くことができないという不満は当然あったと思いますが、どの会場に移動しても何らかの学びがあるようなテーマを用意したつもりです。おおざっぱに見れば、教育講演は満員でした。臨床現場における実務的な知識や技術に関するテーマを扱ったセッションの部屋は外まで人があふれていました。なお、各会場前に経時的に混雑度を掲示し、空いている会場への誘導をこころみました。
 今回の学術大会の準備は約2年前にスタートしていますが、正式な組織委員会を立ち上げ、実質的なプログラム作成に取り掛かったのは2009年12月。しかし、2010年3月中旬に前理事長および前副理事長の指示で学会準備活動は中断、5月に開催された臨時理事会で求められた再開のための4条件(組織委員会の改組、事務局の移転、謝罪文、十和田市長の念書)を提出し、本格的なプログラム作成と学術大会の準備が再開できたのは7月下旬と日程的に大変きびしいものでしたが、組織委員の協力によりなんとかプログラムを完成させることができました。また、演題募集、査読、募集演題の採否決定などの最も重要な作業期間中に東日本大震災が起こり、非常にタイトな作業を強いられました。幸いにも、会場が札幌であったため大会の中止は考えないで済みましたが、海外招待講師が1名来日できないとの連絡があり、急遽東札幌病院の組織委員が代理の演者探しに奔走しました。
 最終的にでき上がったプログラムは私にとっては期待通りの内容でした。このプログラムの素案作成にあたっては、私の大学の同級生であり敬愛する岡部健氏に多くの助言を求めました。特に、力をいれたのが、シンポジウムでは「これからの包括的がん医療」「緩和ケアにおけるEBMの意義と限界」「非がん患者の緩和ケア」、パネルディスカッションでは「日本におけるスピリチュアルケアの本質に迫る」、ワークショップでは「多様な場におけるend of life careの実践」「緩和ケアにおける多職種協働」などです。今回登壇していただいた演者は、それぞれの現場で活躍している方で、十分な時間をかけて発表していただき、その上で議論をしてもらうと本当にいい内容となるのですが、今回は時間も少ないため紹介程度の内容とならざるを得ませんでした。しかし、今後の継続的に議論していくべきテーマであることは会場の皆様にご理解できたのではないかと思います。
 今回のプログラムの特徴は、1.多彩な内容が盛り込まれていること、2.現場での学びを重視したこと(臨床現場から発信された1例報告の採用、現場で働いている演者の登用)、3.地域および在宅での緩和ケアの取り組みを積極的に紹介したこと、4.病院内および地域内での多職種協働を進めることの重要性について踏み込んだ議論を盛り込んだこと、5.非がん疾患や高齢者の緩和ケアへの取り組みの必要性を強調したこと、6.東日本大震災についての報告を急遽盛り込んだこと、7.会員企画を多く設けたこと、8.ランチョンセミナーを開催しなかったこと、9.座長に東北ブロックおよび北海道ブロックの組織委員を登用したことなどです。
 ランチョンセミナーを開催せず、モーニングセミナーとイブニングセミナーに振り替えた理由は、昼食はゆっくり頭を休め、大通公園などで食べてもらうことを意図したからで、幸いにも雨が降らず、湿度も高くなかったので、会場外で弁当を食べた参加者も少なくなかったようです。また、今回は上杉春雄氏のコンサートを開催することができました。すばらしい演奏でしたので楽しんでもらえたと思います。
 振り返ると、会場の割り振りや会場設営、各プログラムの配置などに多くの問題がありましたが、重大な事故もなく、非常に充実した内容であったとの声を聴くことで、私を含め、準備や運営にあったスタッフはこれまでの努力が報われたと感じています。
 今後、今回の大会運営やプログラムに対して、参加者から様々な感想やご意見が寄せられると思いますが、それらを受けた形で大会の在り方をもう一度振り返り、次の第17回学術大会の松岡順治大会長に申し送りをしたいと思います。
 最後に、今回の大会の準備や運営にかかわった、事務局、東北ブロックと北海道ブロックそして学会指名の組織委員、東札幌病院のスタッフ、十和田市立中央病院のスタッフに感謝いたします。また、臨時理事会で学術大会の開催継続に賛成していただいた元理事の方々、そして、遠い北海道に足をのばしていただいた会員の方々にも感謝いたします。ありがとうございました。

Close