Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.51
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2011  51
学会印象記
第34回日本死の臨床研究会年次大会
東海中央病院  澤井 美穂
 2010年11月6、7日、第34回日本死の臨床研究会年次大会が、蘆野吉和大会長(十和田市立中央病院院長)、長澤昌子大会長(岩手医科大学付属病院看護師長)のもと、盛岡市民文化ホール、いわて県民情報交流センターにて、「地域で看取る」をメインテーマに行われました。東北新幹線全線開通を1ヶ月後に控え、岩手山は雪化粧でしたが、街全体が熱気を帯びていたように感じました。
 今大会では事例検討が16題、一般演題(ポスター発表)が247題で、それぞれの会場で、活発な意見交換がされていました。教育講演やシンポジウムは、テーマである“地域社会”を軸にどれも大変興味深いものばかりでしたが、特に印象深かったものは、藤沢町民病院の佐藤元美先生による、「コミュニティの創造―藤沢町の取組―」としての講演でした。藤沢町は町民の半数が町外で死亡していく現状であり、病院が主催するナイトセミナーなどを通して町民ひとりひとりに当事者意識が芽生え、町が成長していく様子を講演されました。講師の熱い語りと、住民の温かさに目頭が熱くなりました。今回の大会を通して、医療は提供するだけでなく、住民と一緒に育んでいくものだと改めて考えさせられました。
 今回、市民公開講座も充実しており、1日目には納棺師で映画『おくりびと』の原作者でもある青木新門さんの「いのちのバトンタッチ」、落ちない林檎で有名なりんご農家木村秋則さんの「奇跡のりんご」、2日目は柏木哲夫先生の「人生の実力」、そして作家の浅田次郎さんの「近代史の中での“いのち”」などの講演があり。これだけの著名人の話を一度に聞ける、とても贅沢な時間でした。どの講演も胸が熱くなり、感動的なものばかりでした。
 今回開催地が岩手県ということもあり、寒さのなかでも人の温かさや強さを感じさせる北東北らしい心に残る大会でした。東北関東大震災では岩手県も大きな被害を受けました。感動的な学会を開催してくださったことに感謝するとともに、一日でも早い復興を心よりお祈りしております。

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