Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.51
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2011  51
Journal Club
遺族から見た水分・栄養摂取が低下した患者の家族に対する望ましいケア
元慶應義塾大学医学部  山岸 暁美

Yamagishi A, Morita T, Miyashita M, Sato K, Tsuneto S, Shima Y. The care strategy for families of terminally ill cancer patients who become unable to take nourishment orally: recommendations from a nationwide survey of bereaved family members’ experiences. J Pain Symptom Manage. 2010;40(5): 671-683.

【目的】
 終末期がん患者において水分・栄養摂取の低下は39‐82%に生じ、家族の70%がそれに伴う苦痛を体験する。家族は緩和ケアの主たる対象でもあるため、家族の苦痛を和らげる手段を開発することは重要である。本研究の目的は、終末期がん患者の水分・栄養摂取低下時の家族の気持ちのつらさとその際に提供されたケアに関する評価を明らかにし、気持ちのつらさとケアの評価に関与する要因を探索することである。
【方法】
 全国の126緩和ケア病棟のうち、調査協力を得られた95施設で亡くなった患者の遺族662名を対象とした自記式質問票による郵送調査を実施し、回答を得た495名(有効回答率68%)のうち、終末期において水分・栄養摂取が低下した353名の患者(80%)の遺族の回答について解析した。「経口摂取できなくなったときの家族のつらさ」(1:全くつらくなかった〜5:とてもつらかった)と、「経口摂取できなくなった時に提供されたケアの改善の必要性」(1:改善は全く必要ない〜4:非常に改善が必要である)を主要評価項目として、これらに関係する要因などを抽出した。
【結果】
 70%の遺族が患者の栄養摂取低下時に気持ちのつらさを感じ、60%がその際に受けたケアに改善の必要性があると評価した。気持ちのつらさとケアの改善の必要性に関与する要因として、家族の無力感と自責感、脱水状態で死を迎えることはとても苦しいという認識、家族の気持ちや心配を十分に傾聴されない経験、患者の苦痛の不十分な緩和が同定された。
【考察】
 70%の家族が終末期がん患者の栄養摂取低下時に気持ちのつらさを感じ、また60%の遺族がその際に受けたケアの改善の必要性があると評価していた。家族の気持ちのつらさとケアの改善の必要性に関与する要因として、「何もしてあげられない」という無力感や自責感、「脱水状態で死を迎えることはとても苦しい」という認識、家族の気持ちや心配を十分に傾聴されない経験、患者の苦痛の不十分な緩和が同定された。したがって、経口摂取が終末期がん患者の家族に対する望ましいケアとして、1)「何もしてあげられない」という無力感と自責感を和らげること、2)終末期の輸液に関する適切な情報を提供すること、3)心配ごとを傾聴し精神的支援を行うこと、4)患者の症状を緩和することが示唆された。

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