Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.51
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2011  51
Journal Club
神経障害性がん疼痛に対するガバペンチンの使用状況とその評価
彩都友紘会病院 緩和ケア科  馬場 美華

Mika Baba, Ikuo Gomyo. Retrospective evaluation of gabapentin for cancer-related neuropathic pain. Palliat Care Res 2010; 5(2): 219-226.

【目的】
 ガバペンチンは、国際疼痛学会で示されたガイドラインにおいて、神経障害性疼痛治療の第一選択薬に含まれている。しかし、これまでに発表されたがん疼痛に対するガイドラインでのガバペンチンの推奨量は、非がん疼痛に対する無作為化比較試験を基に作成されており、がん疼痛に対するガバペンチンの無作為化比較試験は少ない。このことから、がん疼痛に対するガバペンチンの評価は現在のところ十分ではない。今回、当科でのがん疼痛に対するガバペンチンの使用状況を評価した。
【方法】
 神経が浸潤または圧迫されることによる神経障害性がん疼痛を伴う患者で、ガバペンチンにより痛みが軽減した52名を後ろ向きに調査した。評価項目は、神経障害の部位、癌腫の原発臓器、ガバペンチン開始量、維持量、オピオイド投与量、オピオイド以外の併用薬剤(鎮痛補助薬)の薬剤数、非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)、アセトアミノフェン、ゾレドロン酸水和物の使用状況、総投与期間、副作用の発生頻度とその重症度、および内服の中止理由とした。集計したデータを、ガバペンチンを一日量として1800mg以上を使用した群(高用量群)と1600mg以下を使用した群(低用量群)に分け、検討した。
【結果】
 高用量群の人数は、27名(52%)であった。年齢(平均±標準偏差)は、低用量群で66.9±12.0歳、高用量群で59.2±13.1歳と高用量群で有意に低かった(p=0.032)。オピオイド投与量はモルヒネ内服換算量(平均±標準偏差)として、低用量群で66±51(mg/day)、高用量群で105±98(mg/day)であったが、2群間で有意差はなかった。鎮痛補助薬の薬剤数、投与期間は2群間で有意差はなかった。また、高用量群で副作用の発生頻度が増加することはなかった。
【結論】
 今回の調査から、がん疼痛に対するガバペンチン使用において、1日量として1800mg以上を必要とする患者が半数程度あることがわかった。 また、高用量群でより多量のオピオイドを併用していたが、副作用が増強することなくガバペンチンを使用できていた。これは、高用量群で年齢が低かったことが影響している可能性がある。今後、後ろ向き調査の蓄積とともに、大規模な無作為化比較試験が必要と考える。

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