Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.50
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2011  50
Journal Club
末梢静脈から挿入する中心静脈カテーテルの患者による評価
白根大通病院ホスピス  山田 理恵

Rie yamada, Tatsuya Morita, Eiko Yashiro, Hiroyuki Otani, Koji Amano, Yo Tei, Satoshi Inoue Patient-Reported Usefulness of Peripherally Inserted Central Venous Catheters in Terminally Ill Cancer Patients Journal of Pain and Symptom Management Vol.40 No.1 July 2010; 60-66

【背景と目的】
 終末期がん患者では末梢静脈の確保が困難となることが多い。末梢静脈から挿入する中心静脈カテーテル(peripherally inserted central venous catheters: PICCs)はがん医療において積極的に使用されているが、緩和医療において患者によるPICCsの評価についての報告はない。今回、PICCsに関する終末期がん患者の評価(手技に伴う苦痛、留置後の快適さや便利さ)を調査した。
【方法】
 対象患者は1年間で聖隷三方原病院ホスピス病棟に入院した患者のうちPICCsを留置した患者全例とした。PICCsの留置直後に手技に伴う苦痛(とてもつらかった、つらかった、つらくなかった)を3件法で聞いた。また留置2〜7日後に快適さ(楽になった、変わりない、少しつらい、つらい)および便利さ(不便、少し不便、どちらでもない、便利)を4件法で聞いた。
【結果】
 1年間の全入院患者219人のうち39人(18%)にPICCs留置を試みた。39人のうち5人は2回施行しており手技数は44となった。44回のうち成功手技数は38回(86%)であり、平均手技時間(消毒開始してから縫合し終わるまでの時間)は22.6±7.9分であった。手技に伴う重大な合併症はみられなかった。
 手技に伴う苦痛の評価は、とてもつらかった(24%)、つらかった(8%)、つらくなかった(68%)であった。PICCs留置後の快適さの評価は、楽になった(94%)、変わらない(6%)であった。PICCs留置後の便利さの評価は、便利になった(94%)、どちらでもない(6%)であった。
 合併症として、可逆的なカテーテル内の凝固(10%)、不可逆的なカテーテル内の凝固(8%)、軽度の上肢の浮腫(8%)がみられた。
 82%の患者において死亡までPICCsを留置した。留置期間の中央値は15日であり最長留置期間は81日であった。
【結語】
 PICCsは終末期がん患者の約90%においておよそ20分以内に安全に留置することができた。30%の患者が手技に伴う苦痛を一時的に感じたが、90%以上の患者が快適であり便利であると感じていた。PICCsの留置は終末期がん患者にとって安全であり、快適かつ便利であると言い得る。今後はPICCs留置と皮下投与との比較の調査が必要であると考えられる。

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