Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.50
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2011  50
Journal Club
緩和ケア病棟に転科する前後での治療とケアの違い
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団  五十嵐 歩

Igarashi A, Morita T, Miyashita M, Kiyohara E, Inoue S. Changes in medical and nursing care after admission to palliative care units: a potential method for improving regional palliative care. Support Care Cancer. 2010 : 18(9):1107-13.

【目的】
 本研究の目的は、一般病棟から緩和ケア病棟に転入した直後の治療・看護ケアの変更を評価することである。
【方法】
 2005年1月〜2006年6月に聖隷三方原病院の緩和ケア病棟に入院した患者260名を対象とし、転入直後に生じた治療・ケアの変更について前向きに調査した。データ収集には、(1)治療(23項目)、(2)看護ケア(18項目)、(3)患者・家族への病状説明(4項目)、(4)心理社会的情報の入手(16項目)から成る調査票を用いた。
【結果】
 患者一人あたり平均(±標準偏差)で、8.0(±5.6)、の変更が生じていた。「治療」で変更頻度の高い項目は、オピオイドの開始・増量(18%)、輸液の中止・減量(16%)、ステロイドの開始(13%)、制吐薬の開始(9%)、抗生剤の開始(8%)、NSAIDsの開始(7%)であり、「看護ケア」では、口腔ケア(19%)、入浴許可(11%)、食形態の変更(8%)であった。「病状説明」は主介護者(27%)に対して最も頻繁に行われており、「心理社会的情報」は、家族の緩和ケア病棟への期待(53%)と家族の病状理解(41%)が入手の頻度が高かった。
【結論】
 緩和ケア病棟への転入直後の治療・ケアの変更は頻繁に生じていた。高い頻度で変更が生じていた治療・ケアの項目は、地域の医療スタッフのアセスメントが不十分であることを示唆しており、こうした項目を緩和ケア病棟から一般病棟にフィードバックすることにより、地域全体の緩和ケアの質向上に寄与する可能性がある。
【コメント】
 本研究では、緩和ケア病棟への転入直後の治療・ケア変更から一般病棟と緩和ケア病棟のケアの差を検討し、地域の一般病棟における緩和ケアの改善への活用の可能性を論じている。一般病棟の緩和ケアの質向上は急務の課題であり、そのための方策として、緩和ケア病棟からの治療・ケア変更に関する情報のフィードバックは有効であると考える。

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