Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.50
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2011  50
Journal Club
終末期がん患者の精神的苦悩に対する短期回想法
聖マリア学院大学看護学部  安藤 満代

Ando M, Morita T, Akechi T, Okamoto T. Efficacy of Short-Term Life-Review Interviews on the Spiritual Well-Being of Terminally Ill Cancer Patients, J Pain Symptom Manage, 6, 993-1002

本研究の目的は終末期がん患者の心理面へのケアとしての回想法が、Spiritual Well-being(人生の意味感や心の穏やかさ)やGood Death(望ましい死)の向上、不安や抑うつ感の改善に対して有効か否かを無作為化比較試験によって調べることあった。本研究では介入群と対照群を設定した。介入群の短期回想法群では「短期回想法+傾聴」を行い、対照群では「傾聴」のみを行った。短期回想法は1回目の面接で患者が人生を回想した後に面接者が自分史を作成し、2回目の面接で自分史の内容を確認するものだった。自分史では患者の思い出に関係した風景写真などを貼っていった。両群の患者は1回目の面接開始直後と2回目の面接終了前に質問紙に口頭にて回答した。使用したスケールは、Spiritual well-being を測定するためのFACIT-Sp (Functional Assessment Chronic Illness Therapy-Sp)、不安や抑うつ感を測定するHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)、Good Death Inventoryから「希望」「負担感」「人生の完結感」「心の準備感」の項目を選択した。Dignity Psychotherapyと比較するための「つらさ」「身体の痛みの強さ」「身体症状の強さ」についてNRS(Numeric Rating Scale)の1項目を加えた。分析では、2(群:短期回想法群、傾聴法群)×2(時間:面接前、面接後)の2要因分散分析を行った。さらにFACIT-Spとその他の評価尺度との相関も検討した。ホスピス病棟の77名が参加し、9名が中止となったため、各群34名が解析対象となった。介入群は対照群に比べてFACIT-SpとGood Deathの得点は有意に上昇し、HADSの得点は有意に低下した。またFACIT-Spは「人生の完結感」および「希望」との間で中程度の正の相関があり、HADS、「つらさ」、「痛み」との間には中程度の負の相関があった。これらの結果から、短期回想法は終末期がん患者のSpiritual Well-beingの向上、不安や抑うつ感の改善に効果があること、さらにGood Deathの「希望をもつこと」「負担感の軽減」「人生の完結感の向上」「心の準備感」にも効果があることが明らかになった。今後は、医療スタッフによる実施可能性などを検討する必要がある。

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