Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.50
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2011  50
Current Insight
日本人がん疼痛患者におけるフェンタニルパッチの母集団薬物動態解析
北里大学病院薬剤部  国分 秀也

Population pharmacokinetic analysis of transdermal fentanyl in Japanese patients with cancer pain. Hideya Kokubun, Keiichi Ebinuma, Motohiro Matoba, Misako Fukawa, Hajime Mastubara, Kazuo Yago. Report 6th EAPC research congress-Glasgow,UK-10-12June 2010 http://www.eapcnet.eu/LinkClick.aspx?fileticket=TJrNitAUeoA%3d&tabid=752

 フェンタニルパッチ(デュロテップ?パッチ)は、皮膚加温やCYP3A4阻害剤併用による死亡例が報告され、2005年7月および2007年12月にFDAから警告が出されている。フェンタニルパッチは経皮吸収型製剤であることから、体内でのクリアランスの違いに加え、皮膚状態の違いにより、血中フェンタニル濃度が大きく変動することが予想される。しかし、現在までフェンタニルパッチの血中濃度変動因子を考慮した母集団薬物動態解析の報告はない。そこで今回、フェンタニルパッチの薬物動態ならびに変動因子を明らかにすることを目的に母集団薬物動態解析を行った。
 対象は、北里大学病院においてフェンタニルパッチが投与され、文書による同意が得られたがん疼痛患者51名とした。フェンタニルの血中濃度測定はLC/MS/MSにて行い、母集団薬物動態解析は非線形薬物動態プログラムNONMEMを用いた。なお、本研究は北里大学医学部・病院倫理委員会承認のもとに実施した。
 その結果、採血数は189ポイントであり、母集団パラメータは、ka=0.0145、CL=3.53×(15−Child-Pugh Score)×(1+1.38×CYP3A4誘導薬)「Child-Pugh Score:5〜15、CYP3A4誘導薬:併用有=1、併用無=0」と算出された。また、母集団パラメータを基に血中フェンタニル濃度シミュレーションを行ったところ、Child-Pugh Scoreが8および12の患者は、5(肝機能正常)の患者に比べてAUC(血中濃度曲線下面積)はそれぞれ1.43倍および3.33倍に上昇することが予測された。また、CYP3A4誘導薬併用は、非併用に比べてAUCは0.42倍に低下することが予測された。
 以上より、肝機能障害時あるいはCYP3A4誘導薬投与時にフェンタニルパッチを貼付する際は、血中フェンタニル濃度が変動すると考えられるため、投与量を調節するなど、注意する必要がある。

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