Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
麻薬小売業者間譲渡許可免許に関する調査研究
日本医科大学付属病院 薬剤部  伊勢 雄也

伊勢雄也、森田達也、前堀直美、轡基治、塩川満、木澤義之.麻薬小売業者間譲渡許可免許に関する調査研究.Palliative Care Research Vol.5 (2010) ,No.2 pp.213-218

【目的】
 現在、麻薬及び向精神薬取締法施行規則が改正され、麻薬小売業者間での医療用麻薬(麻薬)の譲渡/譲受が可能となったが、その制度の普及や問題点については明らかにされていない。本研究の目的は、この制度の普及と、運用上の障害を明らかにすることである。
【方法】
 全国3,000施設の薬局の薬剤師に対して自記式質問紙による郵送調査を行った。その薬局が麻薬小売業者間譲渡許可を取得しているか否かに関わらず、麻薬小売業者間譲渡許可免許に関する取得のしやすさ、ならびに麻薬小売業者間譲渡許可免許を取得しても麻薬が取扱いやすくならない理由について調査を行った。
【結果】
 1,036施設より回答を得た(回収率34.5%)。麻薬小売業者間譲渡許可免許を取得することにより麻薬が取扱いやすくなる、またはなったと回答した施設は全体の20.2%であった。取扱いやすくならない、またはならなかった理由として、「麻薬の譲渡/譲受申請の地方厚生(支)局長への申請手続きが煩雑」、「譲渡/譲受後の書類の作成/保管が煩雑」といった手続きの煩雑さに関する問題のほかに、「同一患者に対し新規処方分のみしか麻薬の譲渡/譲受ができない」、「備蓄薬局など大規模薬局からの譲渡/譲受ができない」といった問題点が挙げられた。
【結論】
 現在の麻薬小売業者間譲渡許可の制度では麻薬が扱いやすくなっていない可能性が考えられ、他の医薬品と同じように「医薬品販売業者(卸業者)への返品を可能にする」、または「麻薬小売業者間譲渡許可を得た備蓄薬局からの継続的な譲渡を可能にする」ことが必要であることが示唆された。
【コメント】
 在宅緩和医療の推進が叫ばれている現在、麻薬を保険薬局にて扱いやすくすることはがん患者の疼痛管理を行なう上で非常に重要であるが、現在の麻薬小売業者間譲渡許可の制度では不十分である可能性が考えられた。今後はこのような情報を国へフィードバックし、今以上に麻薬が流通しやすくなるための法改正の必要性について働きかけを行っていかなければならないと考える。

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