Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
筋萎縮性側索硬化症のホスピスにおける終末期ケア
救世軍清瀬病院  加藤 修一

加藤修一、小澤英輔、島田宗洋、黒川純、西田茂史、笠原嘉子、高橋敬子、芦谷知子、菅澤佳子、野村真悠子.筋萎縮性側索硬化症のホスピスにおける終末期ケア.Palliative Care Research Vol. 5 (2010) , No. 2 pp.137-144

【背景と目的】
 日本のホスピス緩和ケア病棟は悪性腫瘍とAIDSを対象疾患としているので、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の系統的なホスピスケアの報告はない。今回、ALS7人にホスピスで終末期ケアを行ったので検討する。
【結果】
 ホスピス入院理由は、苦痛症状の緩和を希望し、かつ、家族の事情で在宅療養の継続が困難なことであった。平均在院日数は、114.6(9-402)日。患者の苦痛は、筋力低下によるADL低下(100%)・疼痛(100%)・身の置き所のなさ(100%)・呼吸困難感(71%)・コミュニケーション障害(71%)・流涎(43%)・不眠(43%)・寂しさ(43%)・嚥下障害(28%)・歯の噛み込み(28%)・不安(28%)・自分が家族の負担になっているという思い(28%)・不条理感(28%)などであった。オピオイドが疼痛、身の置き所のなさ、呼吸困難感の緩和に有効であったが、頻回な体位変換・関節他動運動・マッサージが重要なケアであった。また、コミュニケーションエイドや生活用具の工夫によって、ALSの個々の人と家族の喜びを援助することがQOL向上に重要であった。
【結論】
 がんのみならず、ALSを担う人々と家族にもホスピスケアは有用である。
【コメント】
 ALSの人々の終末期ケアでは、ADLの低下という障害をリハビリテーションの視点から家族と一緒に多職種でケアすることが基盤である。その上で、障害から生じる苦痛症状のうち、まず疼痛と身の置き所のなさをオピオイドなどの薬剤とリハビリテーション的看護介護ケアで緩和することが重要である。この二症状を緩和できると、呼吸困難感の緩和ケアを進めやすくなる。ただ現在は、在宅、病院、ホスピスなど、病状に応じた緩和ケアを受けつつ生活できる場を確保できないことが患者と家族の課題である。これらは、がんを有する人々の緩和ケアの状況と類似している。ホスピスケアが役立つならば、非がん性疾患の人々もホスピス緩和ケア病棟を活用できるように、対象疾患の再検討が望まれる。

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