Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
入院患者のための新しい医療用麻薬管理システムの構築と評価
横浜市立大学附属市民総合医療センター 薬剤部  大柄根 いづみ

大柄根いづみ、斎藤真理、縄田修一、菊地正恵、浦崎多恵、岩崎有紀、庄司邦枝、橋本真也.入院患者のための新しい医療用麻薬管理システムの構築と評価.Palliative Care Research Vol. 5(2010) , No.1 pp.114-126

【目的】
 入院患者のための麻薬自己管理システムを構築し、その有用性を検討した。
【方法】
 院内医療スタッフへのアンケート結果をふまえ、多職種(医師、看護師、薬剤師)によるワーキンググループで麻薬自己管理の患者条件と方法を定めた。対象は、1.内服薬自己管理アセスメント適合、2.麻薬自己管理アセスメント適合、3.医師の同意あり、4.患者の希望あり、の4条件を満たした患者とした。2.は用法用量の理解、人目に付かない場所での保管・服薬時刻の記録・空包はスタッフ確認まで捨てない等への協力可否の判断とした。数量は、計数可能な内外用麻薬を定時3日分・レスキュー10回分までとした。床頭台引き出しの貴重品入れ等に保管し、1日1回以上患者同席でスタッフが数量確認を行った。また、自己管理を実施した患者および医療スタッフにアンケートを行った。
【結果】
 2008年4月より12カ月間に内外用の麻薬施用の入院患者は100名おり、 麻薬自己管理可能患者は26名、そのうち患者希望があり実施したのは20名であった。負担感からスタッフ管理を希望した患者もいた。スタッフ事前アンケートで心配事としてあがっていた紛失・盗難・誤服用は、自己管理期間中(平均15.0日間)に起こらなかった。 5日以上自己管理を経験しアンケートに答えた患者の94%が、手元に薬があって安心・困ったことはないと答えた。また、自己管理継続を全員が希望した。スタッフは75%が自己管理を継続すべきと答えた。
【考察】
 当システムは病棟での安全で適切な麻薬自己管理実施に有用と示唆された。病棟での患者による麻薬自己管理は、自施設のスタッフの許容範囲や心配事に配慮したシステムを作れば、導入できると考えた。希望する患者は多くないかもしれないが、希望者には応需可能な環境を、また、在宅での麻薬使用をイメージしやすく患者教育の機会となる入院中から自己管理を体験できる環境を整えることは、患者主体の医療に必要と考える。

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