Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
在宅終末期がん患者における緩和的鎮静の安全性および有効性
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 がん看護分野・緩和ケア看護学分野
由井 洋子

Alonso-Babarro A, Varela-Cerdeira M, Torres-Vigil I, Rodriguez-Barrientos R, Bruera E At-home palliative sedation for end-of-life cancer patients Palliat Med.2010;24(5):486-92

【目的】
 在宅で死亡したがん患者の緩和的鎮静使用率、使用した理由、緩和的鎮静を選ぶまでの意思決定過程、使用された薬剤量を明らかにする。
【方法】
 在宅緩和的鎮静の意思決定と実践を支援するために開発されたチェックリストを患者に対してプロスペクティブに使用し、スペイン・マドリードの在宅緩和ケアチームによってフォローされた370名の患者の診療記録をレトロスペクティブにレビューした。
【結果】
 在宅で亡くなった患者245名中29名(12%)が緩和的鎮静を使用し、使用群の平均年齢は58±17歳であり、不使用群の平均年齢69±15歳よりも若かった(p=0.002)。その他人口統計学的因子に差は見られなかった。在宅緩和ケアチームがケアを導入してからの死亡までの期間は緩和的鎮静使用群63.9±59.95日、不使用群63.3±88.1日で有意差を認めなかった(p=0.963)。緩和的鎮静を使用した理由で最も多かったのはせん妄(62%)と呼吸困難(14%)であった。緩和的鎮静を使用した患者のうち、27名(93%)はミダゾラム(死亡時の平均投与量74mg)、2名(7%)はレボメプロマジン(死亡時の平均投与量125mg)を使用していた。緩和的鎮静の導入から死亡までの平均期間は2.6日(範囲1-10日)であった。すべての患者が緩和的鎮静開始後24時間で、Ramsay Scale5以上(5.傾眠しており、軽い刺激に緩慢に反応する)となり、症状コントロールが達成された。
 緩和的鎮静の意思決定に患者・家族ともに関与したのは13例(45%)であり、家族のみ関与したのは13例(45%)であった。
【結論】
 緩和的鎮静は難治性症状を有する在宅終末期がん患者の治療として安全かつ有用な手段である可能性がある。
【コメント】
 この研究は単施設研究ではあるが、在宅緩和ケアチームによる在宅緩和的鎮静の安全性と有用性を明らかにした、初めての研究の一つである。この研究で使われたチェックリストは緩和的鎮静の意思決定及び治療支援ツールとして研究者や臨床家にとって役立つ可能性があるが、今後は多施設において使用し、更なる検証が必要であると考える。

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