Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
緩和ケアに関する医療者の態度・困難感を評価する尺度の信頼性と妥当性
独立行政法人国立がん研究センター  中澤 葉宇子

【論文】
Nakazawa Y, Miyashita M, Morita T, Umeda M, Oyagi Y, Ogasawara T. The palliative care self-reported practices scale and the palliative care difficulties scale: reliability and validity of two scales evaluating self-reported practices and difficulties experienced in palliative care by health professionals. J Palliat Med. 2010 Apr;13(4):427-37.

【目的】
 本研究の目的は、緩和ケアに対する医師や看護師の態度・困難感を評価するための尺度を作成し、信頼性と妥当性を検証することである。
【方法】
 文献検索と専門家による議論をもとに態度尺度・困難感尺度について各40の予備項目を作成し、信頼性・妥当性を検証するための調査を実施した。調査は自記式質問紙法によって行い、2007年8月に2施設の看護師940人、1ヶ月後の再調査では同施設の看護師204人を対象とした。分析は、因子分析、Cronbach'sα係数、級内相関係数の算出を行った。
【結果】
 本調査では797人(85%)、再調査は151人(74%)から回答を得た。分析の結果、態度尺度(PCPS)は「疼痛」「呼吸困難」「せん妄」「看取りのケア」「コミュニケーション」「患者・家族中心のケア」の6ドメインから構成される18項目、困難感尺度(PCDS)は「症状緩和「専門家の支援」「医療者間のコミュニケーション」「患者・家族とのコミュニケーション」「地域連携」の5ドメインから構成される15項目が選定された。内的一貫性の指標であるCronbach's α係数は、PCPDが各ドメイン0.80〜0.91であり、PCDSが各ドメイン0.85〜0.92であった。再現性の指標である級内相関係数は、PCPSが各ドメイン0.64〜0.71であり、PCDSが各ドメイン0.61〜0.63であった。
【結論】
 計量心理学的方法を用いて、緩和ケアに対する医師や看護師の態度・困難感を評価する尺度を検討し、信頼性と妥当性が保証された尺度を開発した。PCPS・PCDSは緩和ケアに対する医師・看護師の実態調査や、教育プログラムの評価に有用である。
【コメント】
 PCPSは18項目で構成され、各項目について「1. 行っていない〜5.常に行っている」の5段階評価で回答し、PCDSは「1.思わない〜5.非常によく思う」の5段階評価で回答します。現状のアセスメントや改善点の同定、講習会の評価などに簡単に使用することが可能です。すでに第3次がん総合戦略研究事業「緩和ケアによる地域介入研究」による医師・看護師調査などにも用いられています。PCPS・PCDSの最新情報についてはホームページから入手可能です(http://www.pctool.umin.jp)。なお、本尺度の使用にあたり許諾を得る必要はありません。

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