Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
終末期ケアを提供する医師のスキルについて、
患者・家族・医療者の立場から評価する質問紙の作成
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 緩和ケア看護学分野  花田 芙蓉子

Ruth A. Engelberg, Lois Downey, Marjorie D. Wenrich, Jan D. Carline, Gerard A. Silvestri, Danae Dotolo, Elizabeth L. Nielsen, J. Randall Curtis : Measuring the Quality of End-of-Life Care, Journal of Pain and Symptom Management Volume 39, Issue 6, June 2010, Pages 951-971

【目的】
 終末期ケアの改善が必要であるという報告はされてきているが、終末期ケアの改善におけるアウトカム評価として医師のスキルを評価する、有効で簡潔な質問紙はほとんど存在しない。また、終末期ケアの評価は患者や家族を中心に行うことが重要である。QEOLC(Quality of End-of-Life Care)questionnaireは、終末期ケアを提供する医師のスキルについて、患者・家族・医療者の視点から評価する新しい評価方法であり、医師のスキルとして、「患者中心のシステム・コミュニケーションスキル・症状スキル・情緒的スキル・患者中心の価値観」の5つの概念領域で構成された合計54項目の自記式質問紙である。本研究の目的の一つは、QEOLC質問紙の妥当性を検討することである。
【方法】
 終末期患者とその家族、看護師らにQEOLC質問紙を郵送し、横断研究を行った。患者と看護師は医師によって抽出され、家族はそれぞれの患者から抽出された。医師には一般内科医や腫瘍医、心臓病専門医、呼吸器科医が含まれ、アメリカの南東部と太平洋岸北西部から抽出された。QEOLCの妥当性を検討するため、Palliative Care Knowledge ExaminationやABIM questionnaire(患者・家族のケアに対する満足度)、Nurse-PAR(医師に対する看護師の評価)、MSAS-SF(患者の症状)による追加の質問紙調査も行った。
【結果】
 85人の医師から、801人の患者と310人のその家族、885人の看護師が抽出された。患者のQEOLCスコアは、患者のケアに対する満足度(ABIM questionnaire)が高いときや、患者の症状の訴え(MSAS-SF)が少ないとき、医師のPalliative Care Knowledge Examinationスコアが高いとき、医師に対する看護師の評価(Nurse-PAR)が高いときに高値を示した。また、家族のQEOLCスコアは、家族のケアに対する満足度(ABIM questionnaire)が高いときに高値を示した。看護師のQEOLCスコアは、看護師の医師に対する評価(Nurse-PAR)が高いときや、医師のPalliative Care Knowledge Examinationスコアが高いとき、ケアに対する満足度(ABIM questionnaire)が高い患者や家族がいるときに高値を示した。また、因子分析により因子構成の妥当性も示された。
【結論】
 今後、異なるサンプルで評価していくことは必要であるが、本研究の結果ではQEOLC質問紙は終末期ケアの妥当な評価方法であるといえる。さらにケアの質の評価において、患者・家族を中心とすることの有効性を示したことで、今後の評価方法の発展に役立つであろう。
【コメント】
 QEOLC質問紙は、終末期ケアを提供する医師のスキルに焦点をあて、そのケアを受けている患者や家族、さらにそのケアをともに提供している看護師の立場から、医師のスキルについて評価を行う質問紙である。このような質問紙は今までにない新しいものであり、本研究の結果から、医師のスキルの高さは患者や家族のケアに対する満足度などと相関しており、非常に有用な評価方法であるといえる。今後さらなる検証を行い、終末期ケアの質の評価方法の一つとして確立されることが期待される。

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