Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
Journal Club
Archetypal trajectories of social, psychological, and spiritual wellbeing and distress in family care givers of patients with lung cancer: secondary analysis of serial qualitative interviews
肺がん患者の家族介護者がたどる典型的な、社会的・心理的・霊的なwell-beingと苦痛の経過の典型について
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻 緩和ケア看護学分野  清水 恵

Scott A Murray, Marilyn Kendall, Kirsty Boyd, Liz Grant, Gill Highet, Aziz Sheikh BMJ Published 10 June 2010 ; 340:c2581

【目的】
 診断から死亡までの間において、がん患者の家族介護者が、どのような社会的、心理的、霊的well-beingや苦痛を経験しているかについて、インタビュー調査を行い、経時的変化を分析する。
【方法】
 19名の肺がん患者とその家族介護者に、患者の診断後から1年間もしくは患者死亡までの間、3か月毎に1回のインタビューし計88回(うち、42回が患者本人、46回が家族介護者)のインタビューを実施した。身体的、心理的、社会的、霊的なwell-being/苦痛について定義をし、患者や家族介護者は、あらゆる場面において、多側面のニーズが存在し、そのニーズが急激に大きくなったり満たされないことで苦痛が生じるという考えのもとに、インタビューデータについて考察を行った。
【結果】
 家族介護者の、社会的、心理的、霊的なwell-beingの経時的変化は、患者本人の苦痛の変化を反映していた。特に、家族介護者の心理的、霊的な苦痛は、患者本人の苦痛と同様に、診断時、治療後の帰宅時、再発時、終末期などのカギとなる出来事の時に強くなり、変動的で波のような軌跡をたどっていた。社会的なwell-beingは、患者の状態が悪化するにつれて、患者の介護のために家族自身の社会的well-beingが制限されるような軌跡をたどっていた。一方、家族介護者の身体的なwell-beingの低下は、患者を介護する家族の能力に打撃を与えるものであった。
【結論】
 家族介護者は、患者とともに、病みの軌跡を分かち合っており、特に、心理的、霊的側面において、家族介護者の苦痛は、患者本人の苦痛をよく反映していた。家族介護者に対しても、終末期や死別後だけではなく、診断後早期からのサポートが必要である。
【コメント】
 終末期、死別後の家族介護者へのサポートは、現在普及してきているが、今後は、診断後早期からの家族介護者へのサポートも充実していく必要がある。さらに、どのようなサポートを行うことが求められているのかについても解明していく必要がある。
診断後の患者、家族介護者ともに不安定な時期から定期的にインタビュー調査を実施した本研究は、非常に貴重なものである。このような貴重なデータを、様々な方向から分析・考察することにより、早期からの緩和ケアの提供が改善されていくと考えられる。

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