Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演 優秀演題
「終末期がん患者の家族が大事にしたいと思うこと」の概念化:
一般集団・遺族1975名を対象とした全国調査の結果から
演者  東京大学大学院 医学系研究科 家族看護学  三條 真紀子
 このたびの学会におきまして報告いたしました『「終末期がん患者の家族が大事にしたいと思うこと」の概念化:一般集団・遺族1975名を対象とした調査の結果から』が優秀演題賞に選ばれましたことは、本研究を継続していく上で大きな励みとなりました。ご指導、ご協力を賜りました先生方や関係者の皆様、また貴重な時間を割いて本研究にご協力をいただきました対象者の皆様に心より感謝申し上げます。
 本研究は、「終末期がん患者のご家族が、患者との療養生活において大事にしたいと思うことはなにか」を概念化することを目的として実施しました。私がこのような研究テーマに取り組んだ主な理由は、ご家族に対して質の高いケアを提供するためには家族ケアの目標を明確化することが必要であり、そのためにはまずご家族自身がどのように患者さんと伴走したいのかを聞き取り、まとめてみることが必要であると思ったからです。一連の研究では、まずご家族とご遺族50名を対象にインタビューを行いました。次に、面接調査の結果をもとに質問項目をたてて、本研究の対象者の皆様に質問紙調査を実施させていただきました。その結果、「患者がおだやかに過ごせる」「患者の介護を十分にする」「誰かの負担にならない」などの12概念が抽出されました。この12個の概念は、基本的には欧米のQOL研究で得られているものと似ていますが、欧米では、「患者の介護に満足すること」と表現されるものが、わが国では「介護を十分にすること」と表現されました。これは日本人の特徴を表すものではないかと考えられ、人によってはたとえ介護負担が高くても、十分に介護したと思えることが重要で、そのことをある程度医療者は心得ておかなければいけないことを示していると考えます。
 今後は、ご家族が大事にしたいと思うことがかなえられているかどうか、またかなえられていない場合の要因はなにか、に関する実態調査を実施し、ケアの改善につなげていきたいと考えております。今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

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