Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演 優秀演題
遺族からみた在宅終末期がん患者の家族介護者の
困難感尺度の開発と関連要因の探索
演者  大田原赤十字病院  石井 容子
 2010年6月18日〜19日に東京で行われた日本緩和医療学会学術大会で、優秀演題として研究発表をさせていただいた。研究テーマは、「遺族からみた在宅終末期がん患者の家族介護者の困難感尺度の開発と関連要因の探索」であった。研究目的として、1.家族介護者の困難感を評価する尺度の開発とその妥当性・信頼性を検証すること、2.家族介護者の困難感の実態を明らかにしてその困難に関連する要因を調べることとした。在宅の終末期がん患者の遺族377名を対象に、自記式質問紙調査を実施した。306名から返送があり(回収率:81%)、分析対象者は280名(有効回答率:74%)であった。分析の結果、8因子29項目が抽出され、下位尺度は【介護の負担】【往診医に関すること】【介護と仕事・趣味とのバランス】【患者の苦痛や病状】【訪問看護師に関すること】【在宅サービスの利用】【家族介護者の親族との関係】【葬儀に関すること】とした。各下位尺度の尺度化に成功し、信頼性・妥当性は確保された。困難感の実態では、【患者の苦痛や病状】に関する困難感がもっとも強く、1例として、「患者が日々弱っている姿を見るのがつらかった」と回答した遺族は全体の90%であった。次いで順に【介護の負担】【介護と仕事・趣味とのバランス】に関する困難感が強く、それぞれ「目の前のことをこなすことに精一杯だった」:78%、「介護のために仕事・趣味をやめることを考慮せざるを得なかった」:55%、との結果であった。また、関連要因では、家族介護者が患者の在宅死を希望せず、男性の家族介護者であるほうが患者の在宅療養に困難を強く感じていた。
 学会では、本研究を優秀演題として認めていただき、驚きとともに大変光栄に感じた。本研究を通して、在宅での終末期がん患者の家族介護者の困難感の実態が明らかにでき、その関連要因を見出すことができた。今後は作成した尺度をもとに、介護中の家族介護者の困難感のアセスメントツールとしての使用を検討していくことや、今回明らかとなった困難感の軽減を図るケアの支援方法を検討していくことを課題としていきたい。

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