Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演 最優秀演題
再発がん患者に対する回想法の有効性について
演者   広島大学大学院 保健学研究科  上野 和美
 このたび、第15回日本緩和医療学会学術大会において報告いたしました「再発がん患者に対する回想法の有効性について」が最優秀演題賞を賜りまして、大変光栄に感じております。と同時に、ご指導・ご協力いただきました先生方や病院関係者の皆様、そして、貴重な時間を割いてご協力をいただきました患者様に心より御礼申し上げます。
 本研究は、再発がん患者が自分の人生や存在の意味付けを行ない、自己評価を高め、心理的側面への援助やQOLの維持・向上につなげるために、回想法を行うことは有効であるかどうかを検討することを目的として実施いたしました。
 具体的には、再発がん患者を介入群と対照群の2群に無作為割り付けし、介入群には、毎回テーマを設定した個別の面接を1回60分程度、合計8回行い、対照群へは質問票への記入のみを、介入群と同様の時期に行いました。面接の進め方は半構造化された非時系列な回想法とし、介入群には家族や病気、人生や自己についてなど、テーマについて自由に語ってもらいました。その結果、POMSの抑うつと緊張−不安、活気において両群間に有意な差が示され、しかも介入群では、全ての評価尺度において介入後に良好な改善がみられるという結果が得られました。
 今回の結果より、回想法が心理的側面に有効であることが示され、また、臨床現場で、回想法を再発がん患者のQOL向上のための一手段として有効利用できることが示唆されました。
 しかしこの研究は、有効性を普遍化できるようさらに多人数に行い、同時に、介入効果がどの程度続くかを検討するため、現在も継続中です。今後は、プログラム回数・内容などを検討し、この介入を継続していくための、さらにより良い回想法プログラムを作成しようと考えております。
 今回の受賞は、今後の緩和医療発展に少しでも貢献できるよう尚一層努力しようと、研究を行っていく上で大きな励みとなりました。これからも、患者様や臨床の皆様に還元できる研究に取り組んでいく所存でございますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い致します。

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