Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演 優秀演題と最優秀演題
座長  筑波メディカルセンター病院 緩和医療科  志真 泰夫
 今回の学術大会では、一般演題を口演発表とポスター発表にわけて査読した。さらに、口演発表の中から優秀演題を5題選出し、その中から最優秀演題を一つ選ぶという試みを行った。優秀演題は結果として、全員女性が選ばれた。緩和医療の分野における女性の能力の高さと研究への精進が裏書きされる結果であった。男性学会員の奮起を促したい。
 選ばれた優秀演題について共通して言えることは、第1に目的、方法などの研究デザインがしっかりしていること、第2にいずれも量的研究として適切なサンプルサイズが得られている点である。第1席の石井さんの研究では、395名を対象とした遺族調査で在宅終末期ケアの「困難感尺度」を確立すると共に、「男性介護者」「患者に在宅死の希望がない」ことが困難感の有意な関連因子であることを明らかにした。第2席の林さんは外来がん化学療法の患者187名を対象に「有害事象と自己効力感」の関連を明らかにした。適切な症状マネジメントが自己効力感を高めるために重要であることが明らかとなった。第3席の大和田さんは、対象としたがん患者の遺族113名に死別体験に伴う複雑性悲嘆が28.8%に見られるという実態およびハイリスクの遺族であっても心理精神的なケアやサポートグループなどの支援が受けられない現状を明らかにした。第4席の三条さんは、10年以内の死別体験を有する一般市民1143名を対象に終末期がん患者の家族が何を重視するか、を解析し「患者の介護を十分にすること」「誰かの負担にならないこと」という我が国特有の因子を明らかにした。最後の第5席は「最優秀演題」に選ばれた上野さんの回想法に関する研究である。最優秀演題は実際に口演を聞いて4名の評価委員が50点満点で採点をした。いずれも甲乙つけがたい評価であったが、臨床的な有用性が高いと評価された上野さんの研究が最優秀演題として採択された。この研究は回想法に関する無作為化比較試験であり、20名ずつ介入群と対照群の2群に分けて回想法による効果を多面的に見た。この研究から、回想法はがん患者のQOLの向上に有用なアプローチであることが明らかになったと言える。

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