Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
ランチョンセミナー2-5
がん治療中に起こる口腔粘膜症状・疾患とその対処
座長・報告  静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科  安達 勇
 大田氏は80枚のスライドを用いて、がん疾患に伴う各種口腔粘膜症状と特有の疾患とその対処法について詳しく紹介され、緩和ケアの日常診療の実践に役立つ判り易い講演であった。
 講演内容は、一つは抗癌剤治療を施行されている患者には各種口腔粘膜炎やヘルペス性口内炎などが多くみられることが紹介され、治療には抗ウイルスが適応となる。また日常見かけるカンジダ口内炎には偽膜性カンジダ症、肥厚性カンジダ症と紅班性カンジダ症などがあり、特に紅班性カンジダ症はがん終末期にも診られるが、その鑑別は難しくまず疑いを持つことが大切で、治療には適切な各種抗真菌剤が適応となる。そして放射線治療に伴う口腔粘膜症には、重篤な口腔粘膜炎や難治性カンジダ性口内炎などが診られる。この場合は治療経過中のケアが必要とされる。二つ目にがん終末期における口腔粘膜疾患であるカンジダ性口内炎が紹介された。義歯、糖尿病合併者、種々の抗癌剤治療既往者や女性に高頻度にみられ、前駆症状には口腔内ピリピリ感、しみる感じ、味覚障害、口角炎などが出現するので典型的な症状がみられる前に、疑いをもって早期に治療することの大切さを指摘された。最後に最近頻用されているビスフォスホネート治療に合併する下額骨壊死症に伴う口内炎についても言及された。早期予防と診断に注意するよう指摘された。その他に、前癌状態の白板症、歯肉白板症、扁平苔癬などの症例についても紹介された。
 大田氏が特に強調された点は、がん患者においてはこれら口腔粘膜疾患の存在を知り、疑われた場合には早期治療を行うことが、早期鑑別診断に役立つということであった。

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