Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
ランチョンセミナー1-7
持続皮下注射を用いた疼痛管理―PCAを使おう―
座長・報告  近畿大学医学部附属病院 がんセンター  小山 富美子
 本セミナーは事前予約で満席であった。さらに当日参加の列ができるほどであり参加者の関心の高さがうかがえる盛況ぶりであった。演者の服部政治先生は麻酔科ペインクリニック、緩和ケアチームリーダーとしてご活躍中であり、特にがん性疼痛のなかでも治療困難な激しい痛みに対する専門的な治療に取り組んでおられる。講演では、がん性疼痛の総論、PCAの基礎知識、持続皮下注射の選択、薬剤、バルーン型と機械式PCA、在宅への移行などについて、事例などを用いて分かりやすく解説された。PCAは「患者が自分自身で調節する鎮痛方法」である。その利点は、痛み止めを持続させる(Continue)、痛いときにワンショットができる(Rescue)、過剰投与を防止する(Lock-out time)の3要素がある。頻回な突出痛への対応や多剤併用オピオイドからの変更、経済性などを目的にした活用も可能であり、持続皮下注射による疼痛管理の目的の幅広さと、きめ細やかなニーズに対応できることを確認することができた。日頃、患者からのレスキュー要請があってから看護師が実際に投与するまでのタイムラグや、血管確保が困難なケース、経口投与が不可能だが在宅を希望する場合などで悩むケースにしばしば遭遇する。その解決法の一つとして持続皮下注射の選択は期待が大きく、工夫の実際などが多彩に紹介され、「明日からやれそうなことがある。現場で検討してみたい」と感じる講演であった。しかし、現在日本では、PCAポンプ使用における在宅支援システムの普及が乏しい、デバイスの24時間管理をする会社などがない、保険点数がない、在宅医師の経済的負担(消耗品など)がある、アラームへの対応困難さなど、多くの課題がある。在宅医療が増えるなか、簡易な方法で安全に行える疼痛治療の普及に期待が高まることを改めて確認した。

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