Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演13
疼痛・その他の身体症状
座長・報告  松江市立病院 緩和ケア・ペインクリニック科  安部 睦美
 今回の学会もどこも会場はいっぱいであったが、第6会場も満席でやはり疼痛への関心の高さが感じ取れた。疼痛の中でも「その他の身体症状」に関してのセッションで、倦怠感、がん性腹膜炎、顎骨壊死、呼吸困難、消化管閉塞に対する演題でどれも関心のある内容であった。それぞれは、1.がん患者のほとんどが経験する倦怠感に対して、リフレクソロジーががん患者の倦怠感に効果を認めた、2.がん性腹膜炎に対して、内服不可能な場合でも、医療用麻薬に少量のリドカイン・フルルビプロフェン持続投与を併用することで疼痛コントロールが可能であった、3.ゾレンドロン酸使用時、顎骨壊死の合併症に関しては細心の注意を要する。しかし投与回数によって出現頻度が違うが、予後が比較的短期間の場合は投与による有用性を優先させてもよいのではないかという報告、4.がん患者の呼吸困難の緩和にオキシコドンの投与が有効である可能性が示唆されたという報告、5.単一がん腫での酢酸オクトレオチドの有効性の検討は少なく、胃がんにおいて検討された。その結果、胃がん終末期の腹膜播種に伴う消化管閉塞はQOLを低下させるが、酢酸オクトレオチド投与により消化管閉塞の改善がみられ、CRP値が低い症例で有効率が高くなると報告された。がん性疼痛だけでなく、その他の症状コントロールに四苦八苦することは誠に多い。今回の発表はどれも臨床の現場で苦労する症状に対しての内容であったために、とても参考になったと思われる。緩和医療の中では、社会的背景や個人の性格など様々な人との出会いに常に遭遇する。その中で一人一人異なる症状に対して、症状緩和に努めるにあたっては、時には行き詰まり、どうすればこの苦痛症状を緩和できるのかを自問自答することが多いのではないだろうか?一つ一つの事例を積み重ねながら、エビデンスを作り上げていくことが今後も必要になると強く思う。

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