Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演12
疼痛
座長・報告  千葉大学医学部附属病院 麻酔・疼痛・緩和医療科  田口 奈津子
 このセッションはがん性疼痛に対するいわゆるペインクリニック的対応についての発表2題、オピオイドの使用方法に関する研究2題、基礎的研究1題と、その内容は多岐にわたっていた。発表の順番とは異なるが内容の類似性から順番をかえてご紹介したい。
 八戸市立市民病院の佐藤智氏らの発表では、ペインクリニック的手法の中では最も簡単と思われるトリガーポイントブロックが取り上げられていた。短時間の効果ではあるが副作用が少ないこの方法は、積極的に病室で取り入れてもよい治療ではないかと結論されていた。一方で江別市立病院の太田孝一氏らの報告は椎体減圧術、脊髄後枝内側枝ブロックというかなり専門性の高い手技を用いた鎮痛方法である。急性脊椎圧迫骨折による痛みは、患者ADL低下の可能性が高い痛みであることから手技が可能な施設で症例数を重ね評価を継続していただきたい。ペインクリニック的手技は確実に痛みは緩和される方法が多い。しかし、一方で常に評価の中にNRSの低下のみではなく患者QOLを取り入れていくべきではないかと感じる。次に、オピオイドの投与経路変更、ローテーションに関する発表が関西医科大学の野村基雄氏らおよび名古屋掖済会病院の久保速三氏らによりなされた。野村氏らは、フェンタニル静注から経皮製剤への移行は、6時間後半減、12時間後中止ではなく3時間後半減、6時間後中止で鎮痛効果をおとさず、有害事象が少なかったと報告している。各施設で手探りで行っていることを前向き研究でデータとして出していくことの重要性を感じた。一方で久保氏らはオピオイドローテーション時には、特に看取り時期になると貼付剤からの切り替え時には変更の幅が大きくなり注意が必要であると報告している。
 最後に、北里大学の磯野雅子氏らは最近のトピックスであるマウスの骨転移モデルを用いた報告であった。プロスタグランディンに関与する酵素の阻害は鎮痛のみではなく骨病変の進行をも抑える可能性が示されている。臨床応用までにはまだ先が長いが、骨転移の痛みのコントロールは重要なテーマであり、さらに研究を継続していただきたい。

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