Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演11
緩和ケア教育
座長・報告   筑波大学附属病院 総合診療科 緩和ケアチーム  長岡 広香
 本口演は、大会2日目6月19日昼食後に第6会場にて、緩和ケア教育をテーマとして5名からの発表が行われた。
 横浜市立大学附属市民総合医療センター薬剤部の縄田先生からは、e-learningを利用した全医師、看護師、薬剤師への緩和ケア学習会の成果と課題が示された。受講に至るまでのアナウンスに努力を要した点や、毎年継続してゆくことでのさらなる効果が期待されることなどの討論があった。
 ピースハウス病院の二見先生からは、「ホスピス緩和ケア病棟看護職教育カリキュラム」の活用状況の調査結果が示された。回収された調査のうち、84%の施設でこのカリキュラムが使用されていた。指導者の質を確保する難しさやELNEC-Jなど他の教育ツールとの連携など今後の課題も示唆された。
 鳥取市立病院緩和ケアチームの滝田先生は、オピオイド投与患者に対する職種間の初回指導の相違について示され、その指導内容は職種の専門性を反映していることが述べられた。介入する医療者が多くなることの煩雑さ、共通のパンフレット作成の必要性があるなどの声もきかれた。
 岡山大学緩和医療学講座の松岡先生からは、岡山県での一般市民に対する緩和医療教育「野の花プロジェクト」の紹介があった。地域と一体化し、行政の支援のもと行われている大変興味深い取り組みであり、今後の県民の意識変化や行動変容の追跡調査も期待された。
 東北大学大学院の宮下先生からは、日本医師会会員の病院や診療所に勤務する医師を対象とした緩和ケアの知識調査の結果が示された。緩和ケアの知識は、総論的には認識されているものの具体的な面は必ずしも十分ではないことが示され、卒前卒後教育の必要性とともにPEACEプロジェクトの効果も期待された。
 全体を通して、多職種からの緩和ケア教育の取り組みの発表があったことは喜ばしい点であり、今後も職種の壁を越えて連携してゆけるとよいと思われた。また教育や啓蒙は、医療者だけでなく一般市民にも重要であり、全体としてバランス良く進められてゆくことが大切であることを、再認識する機会となった。

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