Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
口演2
栄養・輸液・化学療法・放射線治療
座長・報告   静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科  大坂 巌
 このセッションでは緩和医療に関連する分野の中で、重要なテーマを取り扱った5演題の発表が行われた。
 札幌南青洲病院の中島氏らは、終末期がん患者における輸液治療について、4年間にわたる前向き研究を報告した。MDアンダーソン症状評価票日本語版にて評価したところ、輸液量が多い群においては腹満感、嘔気・嘔吐、手足のむくみが増強しやすく、「全体的な調子」も増悪していた。輸液の減量は理学的所見のみならず、自覚症状の軽減につながる可能性があることを指摘した。
 JA静岡厚生連遠州病院の鈴木氏らは、外来がん患者の緩和ケアニードに関する調査について報告した。OPTIMにて作成された「生活のしやすさの質問票」の簡易版を用いて調査を行ったところ、口腔の問題、不眠、気持ちのつらさ、意思決定の支援などのニードが高頻度に認められた。本質問票は外来診療の中で実施可能なスクリーニングであると結論づけた。
 静岡がんセンターの渡邊氏らは、緩和ケア病棟入院中の患者におけるビタミンB1欠乏に関する報告を行った。終末期がん患者は、病態からビタミンB1欠乏に陥りやすい傾向にあること、および可逆的なせん妄の一要因ともなり得ることを念頭におく必要があることを指摘した。
 藤田保健衛生大学の定本氏らは終末期がん患者における悪液質とrapid turnover protein(RTP)の関連性について発表した。RTPはアルブミンよりも鋭敏な栄養状態の指標であり、栄養学的な治療方針を立てる際に有用な指標となりうることを指摘した。
 藤元早鈴病院の荻田氏らは、症状を有する皮膚病変に対する緩和的放射線治療について発表した。疾患によって差異はあるものの、出血や滲出液などはある程度軽減できる可能性があり、患者の予後、症状に加えて希望も十分考慮して治療方法を選択する必要があると結論づけた。

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