Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.49
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2010  49
パネルディスカッション2

在宅緩和ケアの基本と実際

座長・報告  あおぞら診療所  川越 正平
 在宅緩和ケアの基本と実際と題したこのパネルディスカッションでは、医師、訪問看護師、地域コーディネーターの3つの立場から発表を得た。
 まず、二ノ坂保喜氏より日本ホスピス緩和ケア協会の委員会で検討が進められている「在宅ホスピス・緩和ケアの基準」についてご紹介いただいた。全国各地で自然発生的に生まれてきた在宅ホスピス運動を踏まえ、そこに共通する普遍的な基準を明らかにしようという取り組みである。氏はこのような「手順書」を備えることに加えて、透明性を確保しつつ、ケアの質を改善する方法をもつことの重要性を指摘した。
 次に、高橋美保氏より地域における訪問看護師の実践が報告された。緩和ケアはすべての患者に必要なケアだと位置づけ、地域の医師や訪問看護師が基本的な緩和ケアの知識や技術を身につけること、地域の中の多職種が交流することを通して顔の見える関係をつくることによって、どこに住んでいても地域で適切な緩和ケアを提供できるべく努力したいと述べた。
 3人目の吉原律子氏はOPTIM長崎のがん相談支援センターの立場から、患者・家族、そして関連職種からの相談、がん拠点病院の緩和ケアチームや地域医療連携室のカンファレンスに定期的に参加するなどの活動を通じて、まさに地域のコーディネート機能を司っている実践について報告した。
 総合討論では、会場のマイクに長い列が連なり10を越える質問が出された。その中には、“在宅”緩和ケアの神髄とは何だろうか、医師へすぐにアクセスできない状況下での予測指示の重要性、独居の患者さんをめぐる困難への対応、病院スタッフが在宅ケアの現場見学の機会を持つべき、地域における緩和ケアは訪問看護がその中心となるなど数多くの深遠な問題提起について、登壇者と会場の間で濃密な討論が取り交わされた。
 最後に、座長よりそれぞれの地域の実情を踏まえたふさわしい緩和ケアや地域連携の形があるはずであり、“花”のように多様性を持ちつつ各地での発展を目指すことを提起した。在宅緩和ケアや非がんの緩和ケアの重要性は増す一方と思われる。 今回の会場の熱気が今後の当学会の新たな展開につながっていくことを期待したい。

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