Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
学会印象記
第31回京滋緩和ケア研究会に参加して
京都府立医科大学附属病院
看護部・疼痛緩和医療部 藤本早和子
 2010年5月29日、京都私学会館で第31回京滋緩和ケア研究会が開催された。今回は『緩和ケアは施設を越えて〜いかにすれば早期から緩和ケアを行っていけるのか〜』をテーマとして4名の講演とワークショップが開催された。
 まず担当世話人の、もりいじゅん外科内科クリニック・森居純医師により『全国のホスピス・緩和ケ ア病棟・在宅診療所から見た紹介元施設の医療・ケアの現状や望むこと』のアンケート調査報告がなされた。ホスピス・緩和ケア病棟の医師・看護師の大多数は自施設への紹介が遅いと考えていることなど興味深い報告であった。
 講演では、名古屋掖済会病院緩和ケア部長・久保速三医師が、ホスピス医としての貴重な経験の中から、化学療法を断念しホスピスに来られた患者の複雑な気持ちについて話された。長崎在宅Dr. ネット奥平外科医院・奥平定之医師は、複数の医師が連携することで24時間対応を実現し細やかな対応に加え、医師の負担軽減をも目指した長崎在宅Dr.ネ ットについて紹介された。公立富岡総合病院緩和ケアチーム・津金澤理恵子看護師は、病院だけでなく地域全体をも見据えた上での緩和ケアチーム・緩和ケア病棟の活動展開の重要性を提示された。名古屋大学医学部附属病院化学療法部准教授・安藤雄一医師は、外来化学療法部内の医師が緩和ケアチームのコア・メンバーになっており、それを生かした事例経験について話された。
 その後、「いかにすれば早期から緩和ケアを行っていけるのか」をテーマに議論がなされた。「市民公開講座やメディアなどでの緩和ケアに対する正しい認知の促進」「ギアチェンジは、患者の価値観や生活スタイルを医療者が理解した上で情報を呈示する」など、多くの意見交換がなされた。その中で、久保速三医師の「ホスピスでは来られるのが早くても遅くてもそれなりに対応している。来られた時期が遅くても、色々な経過があってこそだということ を理解して関わっている。」とのコメントが最も印象的であった。医療者は、患者・家族が後悔のないように環境調整をしていくことは確かに大事だが、患者・家族の気持ちの速度がそれについてくるとは限らない。やるべきことをやった後は、患者・家族を信じて「待つ」「見守る」、そして自己決定されたことを最大限サポートし、その結果を「肯定すること」も大切なのだと改めて考えさせられたワークシ ョップであった。

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