Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
学会印象記
緩和ケア・作業療法研修会に参加して
医療法人東札幌病院 作業療法士  大原有郁子
 2010年3月27〜28日、大阪で行なわれた『緩和ケア・作業療法研修会』に参加しました。緩和ケアにおけるリハビリテーションは徐々に浸透してきましたが、作業療法士(以下OT)のみに特化した研修等はまだ少ないのが現状です。当研修会は、前年6月の日本作業療法学会の中で、目良幸子OT(近畿中央胸部疾患センター)をコーディネーターとして開かれた緩和ケアの作業療法に関するワークショップを発端とし、有志が協力して実現したものでした。全国から、50名の定員を超える申し込みがあったそうです。
 目良OTと島崎寛将OT(ベルランド総合病院)による講義では、がん・緩和ケアの基礎知識やその中におけるOTの役割・専門性などが話されました。緩和ケアの経験年数も様々な参加者に対し、基礎から丁寧に講義をして下さいました。
 多くの時間を占めたグループワークでは、施設の特性や地域ごとに分かれ、実際にどのような介入をしているか、課題や対策など様々なテーマについて話し合い、グループごとに発表しました。同様に2例の事例検討もあり、それらの中では「福祉用具などを用いた住環境の調整を得意とするOTは、一時帰宅や退院時の調整でもチームに貢献できる」「精神障害者のリハビリテーションも行なうOTは、精神心理的な支援・アプローチも可能」など、OTの専門性を思案する意見が飛び交ったことが印象的でした。専門的な視点で作業活動(手工芸など狭義ではなく、人間の生活すべて)を捉え、活用していくスキルの向上、そしてチームへのアピールや連携も今後の課題と言えそうです。
 初回の研修会としては、各地で孤独に頑張っていたOT達が、顔を合わせて横の繋がりを持ち、相談する相手・場ができたことがひとつの目標達成ではないかと思います。さらに大きな収穫として、この研修会を元に『終末期・緩和ケア作業療法研究会』が立ち上げられたことがあります(HP:http://kanwaot.net)。今後、リハビリテーション、ひいては作業療法士が、緩和ケアにますます貢献していけるよう、相互に高め合う場になることを願います。

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