Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
Journal Club
緩和ケアにおける代替投与経路 ─舌下投与の有用性─
川崎市立井田病院 佐藤恭子

佐藤恭子, 安藤 孝, 西 智弘, 狩野真由美, 石黒浩史, 宮森 正. 緩和ケアにおける代替投与経路─舌下投与の有用性─. Palliative Care Research 2010;5(1):201-205

 舌下投与は痛みを伴わないため、内服不能で他の投与経路確保が困難な終末期の患者に有用な方法である。我々は、がん性疼痛に対するブプレノルフィン、フェンタニル注射剤舌下投与および、不眠時のミダゾラム注射剤舌下投与について、有効性と安全性について検討した。3剤はいずれも脂溶性であり、口腔内からの吸収率が高い。また、舌下投与は肝臓での初回効果を受けない為、少量で速やかに薬効が得られることは知られている1)。
 投与量は、ブプレノルフィンは定時投与として0.2〜0.4mg 分2または0.1〜0.2mg 分1眠前で使用しており、レスキューとして0.05〜0.2mg/回で使用した。フェンタニルはベースの疼痛管理はフェンタニルパッチとし、ベース量に応じてレスキューとして 0.05〜0.2mg/回で使用した。ミダゾラムは2.5〜5mg/回(約0.1mg・kg-1)とし、不眠時の頓用として使用した。
 3剤は、口腔内により速やかに吸収され(効果発現まで10〜60分)、約90%の症例に効果があった。
 眠気、嘔気の他、嚥下障害を有する例で痰の増加が見られた以外は特に大きな副作用はなかった。
 注射剤の舌下投与は保険適応のない方法であるが、海外ではすでに口腔内崩壊錠や舌下錠が発売され、有効性が示されている2) 3) 4)。飲めなくても、なめることは可能な患者は多く、注射剤の舌下投与は緩和ケアにおける代替投与経路として患者のQOLのために有用な手段と考えられ、保険適応のある製剤の早期の販売が望まれる。

1)池永昌之,恒藤 暁.モルヒネ以外の鎮痛薬によるがん性疼痛管理. ターミナルケア 1998;8(2):126-36.
2)有田英子,花岡一雄. ブプレノルフィンによる治療.痛みと臨床 2003;3(2):192-8.
3)Zhang H, Zhang J, Streisand B.J. Oral Mucosal Drug Delivery. Clin Pharmacokinet 2002;41(9):661-80.
4)Gary M. Reisfield, George R. Wilson. Rational Use of Sublingual Opioids in Palliative Medicine. J Palliative Med 2007;10(2):465-75.

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