Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
Journal Club
遺族調査からみる臨終前後の家族の経験と望ましいケア
社会保険神戸中央病院 内科 緩和ケア病棟  新城拓也

Shinjo T, Morita T, Hirai K, Miyashita M, Sato K, Tsuneto S, Shima Y. Care for Imminently Dying Cancer Patients: Family Members' Experiences and Recommendations. J Clin Oncol 28:142-148,2010

【目的】
 専門家の意見や経験的記述に基づく、ケアやコミュニケーションが、実際に患者や家族の視点から実証された研究はない。本研究の目的は、終末期がん患者の家族の視点から見た、臨終前後の患者へのケアに関する家族の経験を明らかにし、それらに関与する要因を検討し、ケアのモデルを明らかにすることである。
【方法】
 2007年に日本国内の95のホスピス・緩和ケア病棟で死別を経験した670名の遺族に発送した。
【結果】
 492名(76%)の遺族から回答を得た。遺族は、臨終前後のできごとが、「とてもつらかった」45%で、臨終前後のケアに対して、「改善が必要な点が非常にある」1.2%、 「改善は必要ない」58%と返答した。「つらさ」と「改善の必要性」の決定因子は、患者の年齢が若いこと、遺族が配偶者であること、「病室の外から医師や看護師の声が聞こえて、不快なことがあった」、「患者の安楽を促進する」、「患者の接し方やケアの仕方をコーチする」、「家族が十分悲嘆できる時間を確保する」であった。
【結論】
 臨終前後の患者に対する望ましいケアのモデルとは、「苦痛の緩和への配慮」「患者への接し方やケアの仕方をコーチする」「家族が十分悲嘆できる時間を確保する」「医療者の思慮のない会話を避ける」ことである。
【コメント】
 苦痛の緩和だけでなく、どのような対応が患者、家族にとって望ましいかを探索した。日本のホスピス・緩和ケア病棟で行われている、医療者の丁寧で吟味された行動と、多くの医療者の経験から培われている伝承的な対応が、実際に家族に「よい」と考えられていることがわかった。さらに今後も、ホスピス・緩和ケア病棟の現場でよりケアを発展させていきたい。

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