Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
Journal Club
早期乳癌患者に対するリフレクソロジーの効果に関しての
無作為化コントロール試験
東北大学大学院医学系研究科保健学専攻  清水恵

A randomized, controlled trial of the psychological effects of reflexology in early breast cancer
Sharp, D. M., M. B. Walker, et al. (2010). European Journal of Cancer 46(2): 312-322.

【背景】
 多くの乳がんの女性は、補完代替療法を行っており、中でもリフレクソロジーはポピュラーな療法の一つである。リフレクソロジーが乳がん患者のQuality-of-lifeに効果を与えるかどうかについて、その他の補完代替療法(スカルプマッサージ、SIS※)と比較することにより検証する。
※術後乳がん患者に行う、通常の術後の自己ケアに関するサポート
【介入】
 乳がんの術後約6週間の女性患者183名を無作為以下の3群に割り付け、それぞれの補完代替療法についての介入を実施。(リフレクソロジーとスカルプマッサージは1時間/週のセッションを8週間にわたり実施)
  1.リフレクソロジー+SIS
  2.スカルプマッサージ+SIS
  3.SISのみ
【評価方法】
 FACT-B(乳がん患者のQOL尺度)、MRS(リラクゼーションや気楽さについての評価尺度)、HADS(不安と抑うつについての評価尺度)などを用いて、それぞれの介入の効果を評価。ランダム割り付け時(術後6週間目)、術後18週間目、術後24週間目に評価を実施した。
 プライマリーアウトカムは、術後18週間目のFACT-Bとし、セカンダリーアウトカムは、術後18週間後のその他の評価尺度、術後24週間目のFACT-Bとした。
【結果】
 術後18週間目では、スカルプマッサージ実施群で、SISのみ群と比較して、FACT-Bのスコアが有意に高かった。MRSのリラクゼーションについてのスコアは、リフレクソロジー実施群、スカルプマッサージ実施群でSISのみ群よりも有意に高かった。
 術後24週間目では、リフレクソロジー実施群で、SISのみ群と比較して、FACT-BのスコアとMRSのリラクゼーションについてのスコアが高かった。
 リフレクソロジー実施群とスカルプマッサージ実施群では、統計的に有意な差は見られなかった。
【結論】
 リフレクソロジーやマッサージを行うことは、SISのみを行うよりも、術後の乳がん患者のQOLによい効果を及ぼすといえる。
【コメント】
 昨今リフレクソロジーは注目を集めている補完代替療法であり、我が国においても介入研究が行われている。本研究では、リフレクソロジーの効果について、リフレクソロジーとは違うマッサージであるスカルプマッサージとの比較を行ったことにより新しい知見が得られている。スカルプマッサージにおいても、術後乳がん患者のQOLに対して良い影響を与えたという本研究の結果は、今後は、リフレクソロジーのみではなく、その他の身体的なケアについての介入・検討を行っていくことの価値を示唆している。

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