Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
Current Insight
保険薬局における緩和医療の関わりに関する調査
日本医科大学付属病院薬剤部  伊勢雄也

Ise Y, Morita T, Maehori N, Kutsuwa M, Shiokawa M, Kizawa Y. Role of the community pharmacy in Palliative care: A Nationwide Survey in Japan. J Palliat Med. 2010; 13(6):733-37.

 近年、緩和医療の分野において、入院医療と同時に在宅がん患者に対する緩和医療のニーズが高まっており、そのため在宅緩和ケアの基盤整備が急務となっている。しかしながら、在宅緩和ケア推進において重要な役割を担う保険薬局の業務の実態、緩和ケアに関する意識や問題点等を検討した全国規模の調査はまだない。そこで「がん医療の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究」班では、保険薬局の業務の実態や困難感等を集計、解析することにより現時点での保険薬局の緩和ケアへの関与の度合いについて評価を行った。層化二段階無作為抽出法によって抽出した全国3000の保険調剤薬局の薬剤師に対して自記式質問紙による郵送調査を行った。回収集は1036通であり、回答率は34.5%であった。在宅における緩和ケアの推進が叫ばれている現在、薬剤の供給や服薬指導/副作用のチェックを担う調剤薬局の役割は重要なものとなってくると考えられるが、本結果からは現在ではその役割を十分に発揮しているとは言い難く、円滑な業務の遂行のためには現在の麻薬の流通上の規制、地域での患者情報の共有、薬局薬剤師の態度や知識等、解決しなければならない数多くの問題点があることが分かった。特に、麻薬の流通上の問題に関しては地域の保険調剤薬局及び医療機関の努力では改善が不可能な事項であるため、改善に向けての働きかけを行政に対して行っていくべきであると考える。また、患者情報の共有に関しては各地域毎に何らかの対策を講ずる必要があると考えられる。さらには、薬局薬剤師の教育に関しては、知識はもとより “死に直面している患者に対してどのように接したら良いか”という患者とのコミュニケーションに関する教育を行う必要があると考えられた。これらの問題点を一つ一つ解決していくことにより、在宅において疼痛治療を行っているがん患者に有効かつ安全な薬物療法が提供でき、その結果として患者QOLの更なる向上が図れると考えられた。

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