Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
口演7
緩和ケアチーム
埼玉県立がんセンター 緩和ケア科  余宮 きのみ
 126席の会場が満席で、臨床実践的な質疑が多く、和やかな中にも熱気のこもったセッションとなった。
 1.ベルランド総合病院、渡邊裕之氏:PCTスタッフが全て兼任で週1回半日の活動という条件下で、より多くの患者を診療するための工夫として、データベース(DB)の導入について報告した。DBは、リンクナース、薬剤師、PCT内の複数の医師が、それぞれの専門領域の項目を予め記録しておく。業務量の負担はあるものの、活動日にはまとまった情報がDB上に集約されており効率的な活動につながっているとの報告であった。
 2.筑波大学大学院、笹原朋代氏:PCTの活動記録フォーマットを作成し、妥当性を検討するために10施設で使用した結果、PCTの活動内容の可視化に役立つことがわかった。興味深かったのは、推奨内容、実施内容ともに、「症状のアセスメント」、「患者が困っていること、心配なこと」の同定であったことである。推奨する前にもう一度PCTがアセスメントすることの重要性が浮かび上がったと思われる。今回のパイロットスタディに参加した10施設は、モデルとなる施設と考えられるだけに興味深い。この活動記録フォーマットにより、日本のPCTの活動内容が明確になるだけでなく、各施設間の活動内容の差が明らかになり、自施設の発展に役立つと思われる。今後のさらなる研究に期待したい。
 3.聖隷三方原病院、小田切拓也氏:原因不明の神経症状を伴う疼痛に対して、検査を追加することで原因が明らかとなること、また診断することで病態も改善される場合があることが報告された。ただ薬剤を推奨するだけではなく、病態を診断した上で対応することの重要性を再認識したい。
  4.慶應義塾大学病院、安達昌子氏:当施設では病棟とPCTがそれぞれ別に、包括的な症状の評価をしており、病棟が見逃しやすい症状(認知機能障害、心のつらさ)とPCTが見逃しやすい症状(倦怠感、食欲不振)を検出することができた。見逃しやすい症状は、施設ごとに異なるであろうが、病棟とPCTがそれぞれ包括的な症状評価をすることは、緩和ケアの質の向上に役立つと考えられた。
  5.信州大学医学部附属病院、浜善久氏:PCTアセスメントシートを電子カルテ上に導入した効果を報告した。毎日、STAS-J、SOAP形式で記載することで、主治医チームから様々な利点が挙げられた。一方、「重要なことは従来どおり、直接主治医に会って話をして欲しい」との要望があったとのこと。電子媒体が発達する中でも心に留めたい意見である。

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