Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
臨床研究ワークショップ
臨床家が知っておくべき臨床研究の知識と緩和ケアの臨床研究の基本
座長・報告  筑波大学大学院人間総合科学研究科 看護科学系  笹原 朋代
座長・演者  聖隷三方原病院 緩和支持治療科  森田 達也
 近年EBMが重視され、日本でも臨床研究を行い公表する臨床家が増えてきている。そのような現状を受けて、本セッションは「臨床家が必要な臨床研究の知識を整理する、臨床研究にとって必要な基礎知識を得る」ことを目的とし、複数の職種の先生から、研究のあらゆる側面についてご発表いただいた。
 森田先生(医師)は、これまで数多くの論文の査読をなさったご経験から、研究結果の解釈や研究の実施において、臨床家が間違えやすい点についてご説明いただいた。長谷川先生(看護師)は、臨床で疑問が生じたときの調べ方を「便秘」を例にとって示していただいた。調べる際の疑問を公式化する方法や検索データベース画面が用いられていたため、調べ方の手順を具体的に理解できたのではないかと思う。平井先生(心理士)は、研究デザインの重要性についてお話しくださった。研究を行う際に重要なことは、方法論でも統計学的知識でもなく「研究をしっかりデザインすること」であること、疑問を研究としてまとめる7つのステップのうち、PICO(Patients, Intervention, Comparison, Outcome)と研究デザイン選択の2つが重要であることを述べられた。新城先生(医師)は、論文をJournal of Clinical Oncologyに掲載されたご経験から、海外雑誌に論文を投稿し受理されるまでのプロセスについてお話くださった。伊勢先生(薬剤師)も同様に、研究の計画から海外雑誌に掲載されるまでのプロセスについてお話いただいた。特に、薬剤師としてこれまで基礎研究を中心に携わってきたご経験から、初めて臨床研究を行った率直なご感想や裏話なども「開示」された。
 会場が100人程度収容の小さな部屋だったこともあるが、立ち見が出るほどであった。全体討論は時間が少なかったこともあり、あまり活発とはいかなかったが、このセッションに参加して「文献を読んでみよう」「研究に取り組んでみよう」と思った参加者は多いのではないだろうか。ぜひ身近な問題から取り組んでいただき、その成果が患者さんに生かされることを期待する。

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