Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
パネルディスカッション3
緩和ケアにおいて内科治療をどこまでやるか
座長・報告  横浜市立みなと赤十字病院 緩和ケア科  黒田 俊也
座長  独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 消化器内科  里見 絵理子
 終末期がん患者のケアにおいて、各種内科治療を適切に行えば患者のQOLは改善するが、病状の進行には目を向けず無制限に行えば苦痛を増す結果にもなりえる。パネルディスカッション3では、終末期のがん患者に対してどのように内科治療を選択することが患者のQOL改善に働くか、をテーマに話し合いが行われた。
 はじめに林章敏先生より、緩和ケア領域における感染症治療に関する文献・論文からのデータや自施設で緩和ケア病棟と一般病棟とを比較したデータ、研修医に対するアンケート結果の発表があった。感染症治療は延命効果・症状緩和の可能性と治療に伴う苦痛とを考慮して実施されるべきであると述べた。濱卓至先生は、終末期のがん患者に対する輸液のメリット・デメリットについて言及され、緩和ケア病棟やがん診療連携拠点病院の輸液内容に関するデータを紹介し、現状に対する分析を行った。また、がん患者における栄養管理を、診断直後の時期から、治療期を経て、終末期まで切れ目なく行うことの重要性を強調した。宇野さつき先生は、在宅医療を受けた2症例を提示し、患者の意思や身体状況に応じて内科治療を適切に選択することで、患者のQOL向上につながることを示した。
 総合討論のはじめに、座長でもある里見絵里子先生が、予後予測1カ月の患者に対する感染症治療・輸液療法に関するアンケート結果を発表した後に、患者・家族の意向、予後予測、内科治療のスキル、療養場所という4つの項目が治療内容の選択に影響するのではないかという見解を述べられ、総合討論に入った。総合討論では、栄養療法と腫瘍増大との関係、輸血療法の適応、抗生剤投与の工夫、家族とのコミュニケーション、終末期がん患者に対する感染症治療のガイドラインの必要性などに関する意見交換が行われ、過剰でもなく過少でもない、患者のニーズにあった内科治療が施されるためには、現場での地道な努力が必要であることを確認しあった。

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