Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.48
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2010  48
特別講演3

緩和ケアにおける看護
─その歴史とこれからの課題─

座長・報告  ピースハウス病院  二見 典子
 特別講演の前半では、がん看護の最前線で実践・管理・教育を経験されてきた丸口先生が、日本における緩和ケア看護の歴史をご自身の経験に重ねて概観された。がん看護領域での研究テーマの割合は、かつては、ターミナルケアへの関心が高かったが、1990年代後半からは、診断治療の進歩にあいまって治療に関連した看護の割合が増えてきた。疾患の早期からの緩和ケアの必要性を考える時、それが非常に重要なことであることは明白である。一方で、特に臨床実践において、「息苦しい」と患者が訴えた時に、バイタルサインを図って酸素吸入を始めて「様子を見ましょう」というだけの治療関連の看護行為だけでなく、できる看護はもっとあることを今一度しっかり見直して欲しい、安楽な体位、衣類の状態、室温や換気の快適性、観察し調整できることはあるはず。その様な看護が希薄になっていないかと危惧していると話された。
 そして、すべての看護師が基礎教育の最初に学習する“看護の基本となるもの”を引用された。「看護師の果たすべき責任の第一義的なものは、患者が日常生活の様式を守りうるように助けること、すなわち、普通であれば人の手を借りなくても出来る、呼吸、食事、排泄、休息、睡眠と運動、身体の清潔、体温の保持、適切に衣類を着ける等々に関して、患者を助けることである。加えて、生活をより一層意義のあるものとする、さまざまな活動を人々に与えるよう助力もする。 」である。「苦痛を緩和し日常生活への支障を最小限にする」という緩和ケア看護の目標は基本的な看護をしっかり行うことなしに実現することは出来ないし、ケアの丁寧な積み重ねからエビデンスを作り熟達した技術や緩和ケア看護の質の向上に向かって欲しいと。最後に、この講演で筆者の心に響いたことは、緩和ケア看護の中心課題は「End of Life Care」であるという先生の言葉である。看護の基本を丁寧に大切に実践されてきた丸口先生のメッセージは、とてもわかりやすく、多くの参加者がおおきくうなずいて聴いていたことも印象的であった。

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