Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.47
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2010  47
施設訪問記
特別医療法人 栄光会 栄光病院ホスピス
千葉県立保健医療大学健康科学部  安部 能成
 おそらく200を超える日本国内のホスピス・緩和ケア病棟の中で、一番国際空港に近いホスピスではないだろうか。福岡空港の出口から徒歩約15分、地下鉄の駅から歩くよりも国内線の到着ロビーから方が早い。しかも滑走路とは並行に位置しており、さほど飛行機の騒音は気にならない。歴史的にみても福岡地方は国際交流の拠点の一つであるが、輸入されたホスピス・緩和ケアには有利なロケーションといえる。その証拠に、アジアにおける緩和ケアの先進地であるオーストラリアの大学とは交流関係を保っている。
 日本で5番目に設立され28年の歴史を持つ本ホスピスは、病床規模も50床あり我が国の公認施設では2番目に大きい。実は、病床規模が大きいのは経営的問題なのかもしれない、と考えて訪問したのであるが、その予想は見事に裏切られた。
 その理由は施設を見学して分かった。3階建ての瀟洒な建物の3階部分にL字型に25床の病棟が2つ、ロの字に組み上がったような形になっている。あたかも2つのホスピスが存在するかのごときである。そのことを御案内頂いた下稲葉康之先生に伺うと、「それだけのニーズがあるんです」と簡潔な答えが返ってきた。28年間、地域のニーズに応えてきた結果であることは、見学を進めていくうちに判明してきた。自然と英国のホスピスのイメージがわいた。
 本ホスピスは、いくつかの点でセント・クリストファーズに似ている。日本的にいえば前者は48床の独立型ホスピス、後者は50床の病棟独立型で同じ規模。前者は43年の歴史を持ち、地域に根差し、多くのボランティアに支えられている。後者は28年の歴史であるが、やはり地域に根を張り、多くのボランティアに支えられている。両者とも教育・研修に熱心で、多種多様なプログラムを運営し続けている。つまり、多くの人材を育てる場としてのニーズも満たしている点も共通している。
 キリスト教を背景に持つミッションである点も似ているが、敷地内に墓地まで持つ点では栄光ホスピスの方が徹底しているといえる。故ソンダース博士も今はメモリアル・ストーンとなられてセント・クリストファーズの庭におられるが、ここでは希望者が皆そうなっている。
 相違点もある。栄光病院は地域の診療所として出発したので、病院機能評価認定病院、かつ、救急告示病院でもある。医学的リハビリテーションに力を入れている点ではセント・クリストファーズと同じであるものの、その規模は栄光病院の方がはるかに大きい。賢明な読者諸氏には、福岡の動向にも目配せすることをお勧めするしだいである。

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