Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.47
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2010  47
学会印象記
第10回千葉緩和医療研究会に参加して
千葉県立保健医療大学健康科学部  安部 能成
 2010年2月20日、寒さの続く中にも天候に恵まれた土曜日の昼下がり、JR千葉駅前にある京葉銀行文化プラザ6階「欅の間」を会場に、千葉大学大学院医学研究院麻酔学西野卓教授を当番世話人として第10回千葉緩和医療研究会が開催された。
 本研究会の発足から10年という節目を迎え、より学術大会に近い形態が意図されており、ポスター演題とシンポジウムの二本立てとなっていた。とくに前半のポスター発表は初めての試みであり、A:成田赤十字病院外科の石井孝之先生を座長に、緩和ケアチームを中心とした5演題、及び、B:さくさべ坂通り診療所の大岩孝司先生を座長に、緩和ケアにおける家族問題を中心とした6演題、この2セッションが同時進行し、熱心な発表と活発な討論が行われていた。
 後半のシンポジウムは「症状コントロール 現状とこれから」というテーマ設定のもと、千葉大学大学院医学研究院麻酔学の田口奈津子先生を座長に、がん性疼痛:信州大学医学部麻酔蘇生学講座の川股知之先生、呼吸困難:がん・感染症センター都立駒込病院の田中桂子先生、精神症状:千葉県がんセンター精神腫瘍科の秋月伸哉先生、看護ケア:千葉大学医学部附属病院緩和ケア支援チームの藤沢洋子先生という4人をシンポジストに、それぞれのプレゼンテーションと、総合的なディスカッションが行われた。緩和医療における症状をいわゆる「痛み」に限定せず、伝統ある麻酔学的立場からの疼痛対策を踏まえながら、トータル・ディスニアの立場からの呼吸困難、身体症状からサイコオンコロジーにおける精神症状へという懐の深さ、あるいは、医師から看護師へと、緩和医療における職種の観点からも視野を広げていることは、主催者の見識を示すものといえる。
 この後、当番世話人の西野卓教授を座長に、金城学院大学学長の柏木哲夫先生が登壇され、「緩和医療のこれまでとこれから」と題する特別講演が行われた。歴史的に見て、緩和医療がホスピスを母体として誕生した経緯に触れられ、日本における緩和医療学会の展開をレビューされた後、今日的課題としてスピリチュアル・ケアの重要性について言及されていた。
 次回の当番世話人である船橋市医療センター緩和医療内科の野本靖史先生の挨拶により、今回の研究会を閉幕した。125人の参加者を得た本研究会の活動が、今や9,000を超す会員数となった日本緩和医療学会において、地方会のひとつのモデルケースとなることを予感させる学術活動であった。

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