Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.47
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2010  47
学会印象記
中国における第5回緩和医療学会に参加して
静岡県立静岡がんセンター 緩和医療科  安達 勇
 昨年10月に中華抗癌協会の「Committee of Rehabilitation and Palliative Care, China」の委員長である同済医科大学腫瘍内科の于世英主任教授から、11月20日に、中国武漢市で開催される第5回全国学術大会において「日本の緩和医療の現状」について報告してほしいとの招聘状が届いた。急なことであったが、現在財団法人日中医学協会理事長を併任しており、中国の緩和医療の現状にも関心があったので招待講演を引き受けた。
 今まで国際緩和医療学会には中国本土からの参加は殆どなく、ホスピスの施設もないと聞いていたが、既に10年前から学術大会が開催されていたと知って驚いた。武漢市のシャグリアホテルで開催され、全国から約800名近い医師や看護師らが参加していた。特別招待講演にはヨーロッパ緩和ケア協会(EAPC)の副会長のShella Payne女史、イギリスからMichael NiscoやAndrew Neil Davies、またアメリカからはXin Shelley Wang、MD AndersonのCharles S. Cheelandらが講演し、そして私からは日本の緩和医療への歴史的背景、保険医療政策における現状とがん対策基本計画への取り組みについて報告した。国内からは約80演題が報告され、抗がん治療に伴う症状への支持療法、がん疼痛に対する緩和ケアからリハビリテーションなど種々の内容が報告されていた。中国国内では緩和ケア病棟やホスピスの施設は極めて少なく、終末期のがん患者は多くが在宅や地域の施設で看取られていた。がんの症状緩和ケアは腫瘍内科内で主に支持療法の一貫として行われており、抗がん剤などの積極的治療と平行して行われているので、病棟内で看取る余裕がない現状におかれていた。また、院内外での介護ケアは全て、家族らが中心に行い、また院内での看護師によるナーシングケアについても限定されおり、いわゆるホスピスケアは行われていなかった。今年4月には天津市で行われる「華北緩和ケア学会」においての講演も依頼されているので、中国における緩和ケアの現状をより詳しく見てきて、再度報告する予定である。

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