Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.46
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2010  46
書評
「かぎりなき使命─ホスピス・緩和ケアとそのプロたち」
柴田岳三 著
旭川医科大学病院 緩和ケア診療部  阿部泰之
 それはうれしい裏切りであった。タイトルから、ホスピス・緩和ケアに関わる多職種の仕事について紹介する本だと思って読み始めたからである。しかし、読み進めるにしたがい、本書は筆者がホスピス・緩和ケアの現場にいて悩み考えたことを、医療をより良くしてほしいというメッセージとして伝えるべく生まれたものであるとわかった。それは高圧的に理想論を語るものではなく、筆者の人柄そのものの素朴な文体で柔らかに伝わってくる。各所で頷きながら一気に読み上げてしまった。
 もちろん、タイトル通り、中盤には筆者の施設において各プロフェッショナルがどのように働き、またいかに互いを尊重し合っているかが書かれている。各科医師から始まりボランティアまで、なんと34職種について紹介されている。これだけ多くの職種について書かれた本も珍しいのではないかと思う。ただ、共通しているのは各職種への感謝の念であり、その点については関わりの多少の違い、職種別のランクは見当たらない。彼らにとって、名前の上についている肩書きは意味がないようである。このことがチーム医療の原点であるということは、賢明な読者であればすぐに気づくことであろう。筆者が述べているように、「病院全体があたかも大きなチームとなっているように感じられる」のである。本書を通じて読者は、チーム医療の原点に立ち返ることと、そのモデルを知ることができるのである。
 本書においては、その舞台となっている北海道西胆振(いぶり)地域での取り組みも紹介されている。この地域では当初、ホスピス・緩和ケアに対して、患者・家族のみならず医療者にも強い偏見や誤解が見られたという。筆者を含む仲間の地道な活動が実り、現在では病院、在宅等の垣根なく話し合いが行われている様は特筆すべきである。地域活動のヒントにもなり得る良書である。


青海社 2009年11月5日発行 1,890円

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