Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.46
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2010  46
巻頭言
近畿大学医学部附属病院  小山富美子
 新年を迎えたこの月はいつも、患者さんのお正月外泊・退院準備のイベントがひと段落しほっとすると同時に、私達日本人にとってのお正月の意味を改めて考える時期であります。医療者としてそのような貴重な時間に携わらせて頂くことは喜びもあり、その重みを感じます。また、もっと早く、より良く出来たことは無かったのか、と技術不足の壁に直面し不全感も感じてしまいます。そのようなかかわりのなかでいつも人間同士の支えあう強さに感銘を受けます。ご家族は患者さんの存在そのものを支えとしており、それは互いの生きる強さになっているということを目の当たりにします。そんなとき生きるプロセスを支えることなのだと、あらためて緩和医療のあり方とその難しさを実感いたします。しかし、その一方で我々医療チームはお互い支えあい、目の前の患者さんやご家族に最善を尽くせているのか、といった自問が湧いてきます。
 緩和ケアチーム加算ができるまでの頃は組織の承認を受けていたチームは少なく、医師・看護師・薬剤師、他職種が目標を共有し、自主的に強い熱意で活動していました。診療報酬が取れるといった社会的評価を得たことは、そういった先人の方々の多大なる努力の成果であり、国民にとっての大きな利益となりました。今、私達は熱意を維持しつつ提供する緩和医療の質を問うことを課題としています。チームのスタッフは「診療報酬に見合うケアの質を保てているのか」という重圧、または兼務の苦労を抱え、患者・家族そして医療スタッフのニーズに応えるために努力を続けています。それぞれがストレスフルな状況を乗り越えていかねばなりません。その解決の鍵のひとつとなるのは、それぞれの職種が専門性を引き出しあい、認め合いながら機能的なアプローチを行うことではないかと考えます。
 本学会は多職種で構成されていることが大きな強みです。PEACEプロジェクト、各地の緩和ケア研修、各種ガイドライン作成において他職種が参画しています。学際的に能力を合わせ集大成された力を用いることができることは、より多くの現場の問題解決に役立つでしょう。他の職種と建設的な意見交換ができることは大変大きな解決の力となり救いでもあります。高い機能をもつチームには互いの信頼、遠慮なく衝突できること、責任を持った行動と互いの責任説明ができること、チーム全体の結果を重視すること、などが必要であるといわれています。チームメンバーとして決して受身ではなく、ひとりひとりがチームの成長に責任を持ち、ケアの質を高められるよう主体的な行動を私たちには求められています。患者と家族の生きるプロセスを支えるため、チームの一員として、また、本学会員の約3割を占める看護職の一人として、よりよいチーム作りに貢献できるよう努力してまいりたいと考えております。

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