Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.45
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2009  45
施設訪問記
独立型ホスピス 大分ゆふみ病院
千葉県立保健医療大学健康科学部  安部能成
 東九州の大分県には3つのホスピス緩和ケア病棟がある。そのうちの一つ、大分市金谷迫にある独立型ホスピスの大分ゆふみ病院を訪問する機会を得たので報告したい。
 JR大分駅からはバスの便があるが、時間の都合で駅前からタクシーを利用した。運転手さんに行き先を告げると即答したので、知名度のあることが分かった。10分余りで到着した。
 正面にまわると、院長の山岡先生が出迎えてくださった。玄関口に立つと大きな温泉旅館のような佇まいである。なかに通されると、落ち着いた色調のラウンジがあり、その先には庭園のような空間が広がっている。ここには小川のせせらぎもあり、四季折々に花が楽しめるそうだ。そういえば、院内誌にも花のある風景写真がふんだんに使われていた。
 平屋の建物は、高い天井に気が付く。全個室で24床ある。病室は明るく、静かで、どの部屋からも屋外に出られる。窓、ベッド、洗面室が機能的に並んでいる。しかも、隣室との間には段差の付いた板塀があり、覗かれず、プライバシーも守られそうな設計だった。
 専任医師3名、看護職員22名と、これだけでも1病床当たりの職員数は1を超えている。
 さらに、薬剤師、厨房スタッフ、ハウスキーパー、ソーシャルワーカーから栄養士までおられたが、残念ながら心理士とリハビリのスタッフはいなかった。もちろん、職員配置は全国平均を大きく上回る水準である。
 入浴の部屋も、窓が大きく、しばしば問題になる湿度管理も容易な印象であった。日本人の風呂好きは国際的にも有名であり、これまでに訪問した多くの施設でも入院患者さんの要望が高かった。介助入浴になっても風呂を楽しみにしている人は多いので、入りやすい浴室に心を砕いている施設が多い。ここも動線が上手に整理されているので、お尋ねすると、後藤看護師長さんは前任地の北九州のホスピスで経験を積んだベテランであり、細かい処にも気配りのされた、温かみのある空間となっていたのも道理であった。
幾度となく施設訪問にお邪魔させていただき、色々な建物を拝見するたびに、物理的空間にも、そこに集う人々の情が反映していることを感じた。今回の見学も、そのことを再確認した1日であった。
お忙しい中を御対応くださいました山岡院長(当時)先生、後藤看護師長さん、ありがとうございました。なお、山岡先生は在宅ホスピス展開のために退職され、現在は一万田正彦先生が院長に就任されておられます。

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