Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.45
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2009  45
モーニングセミナー5

進行がん患者の緩和ケアのコツ〜面接・診断・治療のポイント〜

座長・報告  順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座  井関 雅子
 第14回日本緩和医療学会の企画の1つとして、安保博文先生を演者として、6月20日朝8時、モーニングセミナー「進行がん患者の緩和ケアのコツ〜面接・診断・治療のポイント〜」が行われた。朝早くから、多くの受講者が集まり、会場は立ち見が出るほど満員となっていた。
 講演内容は、進行がん患者の面接・診断・治療と多岐にわたる内容であったにも関わらず、非常にわかりやすく具体的に臨床に役立つようにまとめられていた。
 進行がん患者では、さまざまな身体症状が出現する中で、目標を「少しでも普通に近い生活」を目ざすわけであるが、第1に、面接のコツとして、傾聴により患者について医療者が十分に理解することが重要であり、その上で患者の物語の中での疾患を捉えることであると話されていた。
 第2に、診断や治療面においては、進行がんの患者では、さまざまな要因で体調の変化が生じやすいため、しっかりとした身体症状のアセスメントを行う必要があり、身体症状の対策をせずに心理的なアプローチを試みても日常生活レベルを改善することは難しいとお話され、身体症状の評価のための視診、触診といった基本的な診察を施行し、適切に治療・ケアすることの重要性を強調されていた。
 特に、がん進行期の体調変化に対する原因診断のポイントは、1)がんの再発・進行、2)薬剤(緩和医療の薬剤、抗がん剤など)の副作用、3)合併症(感染症、出血、高カルシウム血症など)の3種であり、患者の身体症状を緩和するために使用される緩和医療の薬剤においても、さまざまな副作用が引き起こされる可能性があるため、細やかな観察が重要であるとまとめられた。安保先生の日常臨床における素晴らしい姿勢が伺われる講義内容であり、緩和医療に携わる医療従事者がおさえておくべきポイントが集約されていた。

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