Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.45
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2009  45
モーニングセミナー3

疼痛以外の症状マネジメント〜消化管閉塞、せん妄など〜

座長・報告  淀川キリスト教病院ホスピス  池永 昌之
 要町病院・要町ホームケアクリニックの吉澤明孝先生によって、「疼痛以外の症状マネジメント〜消化管閉塞、せん妄など〜」というタイトルでモーニングセミナーが行われた。
 消化管閉塞による嘔気・嘔吐に関しては、嘔気の持続時間・強さ・嘔吐回数・量などのほかに、嘔吐の「色調や臭い」といった性状の観察をすることが参考になる。その上で、下部消化管閉塞が強く疑われるならば、オクトレオチドは有効性が高いことが確認されている。要町病院で2008年9月から2009年3月までにオクトレオチドを使用した消化管閉塞患者20例の検討では、18例で嘔吐の減少がみられ、12例で経口摂取が可となった。特に、悪性腫瘍に伴う消化管閉塞で、手術適応がないと判断される場合には、オクトレオチドなどの薬物を組み合わせた治療を検討し、いかなる薬物療法を試みても効果がなかった場合に、はじめて胃管挿入を検討する。それと同時に、輸液量を適切にコントロールすることも重要な要素になる。
 がん患者に出現するせん妄はその背景にさまざまな要因が関与していると考えられるが、その要因の一つとして高カルシウム血症が疑われる症例を多く経験する。これらの症状のなかには終末期症状や抗がん剤の副作用と類似しているものもあり、高カルシウム血症が見逃されることもあるため、定期的に血清カルシウム値(アルブミン補正値)を観察することが重要になる。高カルシウム血症の治療は、以前は大量生理食塩水の点滴+利尿剤の投与、さらにエルシトニン静注が行われていたが、ゾレドロン酸などのビスホスホネートの登場以来、第一選択として使用されるようになった。要町病院でも2008年9月から2009年3月までにゾレドロン酸を使用した27例における検討では、3分の2の症例で骨転移による疼痛コントロールが可能であった。また、使用1週間後で有意な血清カルシウム値の減少が認められるとともに、血清クレアチニン値の低下も認められた。

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