Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.45
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2009  45
イブニングセミナー5

がん終末期医療の口腔ケアの理論と実践
〜新しい口腔ケア用品の応用〜

座長・報告  静岡県立静岡がんセンター緩和医療科  安達 勇
座長  静岡県立静岡がんセンター 口腔外科  大田 洋二郎
 がん緩和医療で、口腔ケアは、必須のケアとして認識されてはいるが、口腔乾燥や口臭やカンジダ症、また歯科的な義歯の不適合など、医師や看護師による視点での介入では、問題解決が図られないことがある。そのような場合に、歯科と連携すると、口腔のトラブルが非常にスムーズに解決することをしばしば臨床で経験する。
 大田医師は、静岡がんセンターに勤務する同僚であるが、この歯科は、がん治療の急性期から慢性期のすべてに横断的にかかわる体制をとり、がん支持療法の重要な役割の一つ、口腔のケアや歯科治療を実践している数少ない施設である。
 今回のイブニングセミナーでは、がん終末期の口腔ケア介入の実際については次の3つの病態とその対処方法を解説した。
 口臭の問題解決:舌苔の除去と口臭の原因と考えられる揮発性硫化物をキレートする市販品の効果が高い。
 口腔乾燥の対症療法:対症療法だが、市販の保湿剤も含め、いくつかのオプションを試して、最も患者にあうものを選択し、それを頻回におこなう
 口腔カンジダ症の診断と抗真菌剤の使い方:カンジダの診断は、白色の病変については肉眼所見と自覚症状のピリピリ、ちくちくとした弱い痛みに注意が必要である。
 これらは、がん終末期の口腔内に高頻度に認められる症状で、緩和ケアにかかわる医療者がいつもその対処に苦渋してきたものであり、どれも有益な情報提供となった。
 さらに、静岡がんセンターが静岡県の産学共同のプロジェクトとして推し進めるファルマバレー構想のもと開発された口腔ケア用品が、動画を使った口腔ケア介入の説明とともに紹介された。
 最後に、大田医師は、「がん終末期の口腔ケアは、エビデンスが確立していない部分がほとんどだが、経験的に症状の緩和を図る方法が分かっている。これらを日々のケアに導入することが、『患者さんの自然な形で最期まで口から食事をとりたい。』という気持に叶うケアになる」と講演を結んだ。

Close